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aotohana  作者: aotohana
3/9

高2*冬


田崎くんってよく分からない。


告白?


ううん、違うよね。


だって、そういうのめんどくさいって言ってた…。


それに…


キスしてた…泣かせてた…浮気したって笑ってた…次々と私の頭に浮かんでくる彼の姿…。


わかんないよ。




公園…すっかり葉が落ちてしまった木々がどこか寂しげだ。


それに…噴水も冬のあいだはとめられてしまう。

寂しさを増した公園にくる人は、秋に比べ一気に減ってしまった。




相変わらず、この公園に俺は来ている。

あいつに会うために…。



「長谷部…俺と付き合わね?」


彼女は何も答えなかった。しばらく黙ったまま。

そして一言…「わからない」とだけ答えた。


あれから、長谷部は公園にきていない…。





どうしていいか分からなくて…


私は公園を通って帰るのをやめた。

かなり遠回りになるんだけど、毎日ドキドキするよりはずっといい。




「蒼叶、最近おちてんな…」

ハセが俺の前のイスに座る。


俺は答えず、雑誌をパラパラめくった。


「彼女とケンカしたとか?」


「いねぇし、いつの話してんだよ、ハセ」



「まっ、お前は女に不自由しないし、やったら別れての繰返しだもんな」


ハセの嫌味だ。ったく…うるせぇよ。


「ハセは、そんな俺とよく一緒にいれるよな」


ふざけて聞いてみる。


「まぁ、俺はおまえのことよく知ってっからな」


ハセは爽やかに笑いやがった。





1組と合同の体育。

女子は教室で筆記の方…筋肉やら…しくみやら…難しい。


窓の外を眺める。

男子はマラソンなのかな…大変そう。


走る集団の真ん中の方…久々にみた彼の姿に、心の奥がまたぎゅってなる。


私は視線を黒板へ戻した。

授業が終わる頃…外がなんだか騒がしくなった。


水道の近くのとこで、なんかもめてる?






「そいや、長谷部にフラレたって」


「ちげぇよ、俺は別に好きじゃねぇし、ちょっと面白いかなって思っただけだって」


「だっせ~」


友也の仲間たちの笑い声。


「あいつ、俺が自分のこと好きだってマジにとってっかと思うとこえーよ」



……。


「な…なんだよ、田崎…なんか用か」



ガンッ


俺が胸ぐらをつかんだ途端に、あいつが勝手にビビって倒れ、水道のコンクリートに頭をぶつけた。


「いってぇ…田崎、お前…ふざけんなよ」



俺が冷たい視線を送ると、周りはビビって静かになった。


「お前はフラレたんだよ」


つるんでる奴等の前で恥をかいたのか、俺の発言にみるみる顔が赤くなる友也。


「は!?…なに言ってんだよ、意味わかんねぇ…あ、あ~そうか、お前の次遊ぶ女…長谷部か」


何いってんだ、こいつ。どこまで最低なんだよ…。




「は、はは…でも、長谷部やらせてくんねぇぞ」


バンッ


俺が蹴ったバケツが倒れ、座り込んでいた友也の方へ入っていた水が勢いよく流れていった。





雪がちらついてきた。公園はすでに誰もいない。

マジ寒い…


「お前はフラレたんだよ」


…何いってんだか。俺も同じだ…。


無意識にでたため息…目の前が白く曇る。



曇りがとけた、俺の瞳にうつるのは…涙をためた女の子。


「ユミちゃんから聞いた」

彼女は震える声でつぶやく。


ハセか…。


「なぁ…長谷部、俺と付き合って」


5秒の沈黙…そしてくりくりな瞳が俺をみる。


「うん…」

彼女の目から涙がこぼれた。




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