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aotohana  作者: aotohana
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高2*秋


待ち合わせに使っていた噴水のある公園



俺は誰を待っているんだろうか…



自分でもよく分からない。





長谷部花…とは少しずつ、話すようになっていった。


学校では、たまに見かけるけど話すことはない。

この公園で見かけた時だけ、少し話をする。


そんな関係…。



今日は…こないんだな…。

俺はマンガをパラパラめくる。


帰っか…


もう俺には、この公園にくる必要はなくなっていた。


それでも、たまに…この公園に来たくなる。

それは…習慣からなのだろうか…。




木々が色づき始める。

夏の爽快な雰囲気から一転どこか、切なさを感じる雰囲気…。


うん、ある意味大人な雰囲気なのかな…


夏の頃にはいなかった、カップルがあちこち…秋のデートを楽しんでる。



私は少し落ち着かないのだけど…

田崎くんは、ぼんやりそれを眺めていた。


「なぁ、長谷部…そういや彼氏とかいねぇの?」




こういう話、恥ずかしくてあんま得意じゃない…。


「…うん、いない…私モテないから」


自分で言ってて悲しくなる。


「田崎くんは?」


あ…普通に返しちゃったけど…そういや別れたって…



慌てる私に、たいして焦った様子もなく、


「今はいねーな、夏に別れたし…ちょっとめんどくさくなった、そういうの…」


めんどくさいって…


私の心を読まれたのかな…


「あ…長谷部、俺のこと最低な男って思ってる?」


……。


「思って…ない…けど…浮気は…よくないと…思う」


数秒の間。あれ?


「だよな…よくないよな、浮気は」


もう笑ってるし。…一瞬私の言葉が彼を傷つけたような気がした。




また合同か…


体育館。

ハセとストレッチをしながらいると…


バカ笑いが聞こえる。うるせぇ…ホント不快。

内容は…下ネタだ。


ここですんなよ…マジで。うぜぇから。

わ…ハセ、顔こわっ。

ハセはこういうの、好きじゃねぇもんな…。

硬派っつーの、さすがスポーツマン。



まぁ、男だけだし、別にいいとは思うけど、あいつ…そもそも、鈴木友也が俺は嫌いなわけで…。

バカ笑いが聞こえる度に、俺を不快にさせた。



「マジで?すげぇじゃん」


「で、で?どうなんの?…へぇ」


バカ笑い…。


「長谷部とすればいいじゃん」


長谷部?


「いやぁ…さすがにムリっしょ、あいつ胸ねぇし」


「友也…それねらってんのかと思った…あいつにけっこう話かけてんじゃん」


「まぁ、あいつ嫌って言わなそうだよな、言ったら…顔はまぁ、けっこう可愛いしな」


「友也、マジで言ってみたら?やっぱ経験必要じゃね?」


「マジで?」


バカ笑い…。


聞きたくねぇし。


「蒼叶…顔こえーぞ」


ハセが声をかけた。

……おまえに言われたくねぇよ。




「バレーどうだった、体育祭勝てそう?」


男子は体育館でバスケ。私たち女子は旧体育館の方でバレーの練習だった。


教室に戻るところ…鈴木くんに声をかけられた。


「うん…全然だめ…レシーブうまく当たんない」


「あ~できるだけ、サーブ自分とこ飛んでくんなって思うよな」


「うん、そうそう」


お互い共感でき、笑えた。



鈴木くんの視線が一瞬遠くの方へ移動する。


「どうしたの?」


「いや…なんでもない。じゃ、俺行くわ」



ん?なんだったんだろう…。




秋になっても、まだ体動かすと暑いな…

ハセと教室に戻ろうとしたら、


廊下で笑いあってる、友也と長谷部の姿。


ハセも気づく。


「なぁ、あの子のことだよな、友也が言ってたの」


……。


「知らなくて平気なんかな…」


ハセも心配してる様子だ…。

けど、こういうの言うってどうなんだ?


「あいつが自分で、なんとかすんじゃねぇの」


「おまえ…基本、女に優しいクセに、冷てぇな」


知るかよ…。


俺は偶然こっちを見た友也をにらみつける。

あいつは、逃げるように、長谷部の元を去っていった。


人によって態度変えすぎだろ、マジイラつく。




それから、数日後のことだった。


俺は友也のこと、長谷部にいうつもりはなかった。


あいつ、なんか傷つきそうだし…

余計なお世話だと思ってたから。



けど、友也が長谷部に告白したらしく…


心配したハセが委員会が一緒である、片瀬ゆみに相談したらしい。



片瀬は、あいつに言うことを選んだ。


俺はハセにそのことを聞いた。

聞いたあいつは、どんな反応をしたんだろうか…





噴水みたら少しは元気でるかな…。



ユミちゃんから聞かされて…。

本当なのか信じられなかった。単なるうわさかなって。



でも、ユミちゃんから、そのことを聞かされなかったとしても答えは決まっていた。


鈴木くんへは、そういう気持ちじゃないから。



「ごめんなさい」


私が答えると、鈴木くんは…


「マジかよ、ってか別に俺、そんなに長谷部のこと好きってわけじゃないし…ノリみたいなもんだって」


……私ってバカだな…。



そう思ったら涙が止まらなくなって。




今日も公園に向かって俺は歩いてる。

なんで俺は待ってるんだろう…。

でもなんか…ほっとけねぇし。


ベンチに座り、無邪気に走り回る、子どもたちをぼんやり眺めている俺。


風が少し肌寒く感じる頃…


俺の方へ向かって歩いてくる女の子。

あいつは、俺の顔を見ると、泣き出した。


「…アヤ、どうしたんだよ」




ヤバイ…目が腫れてるかも…


今日はなんか田崎くんに会いたくないな。


そう願っていたのに…。


公園には田崎くんと、もう1人キレイな女の子。

西女の制服を着てるけど…こないだの子じゃ…ない。


泣いてる…。


私は気づかないふりして歩いた。

なんだか、心の奥がぎゅってなる。


なんか泣きそう…せっかく涙とまったのに…。

なんで?




アヤは突然泣き出した。

よく分からない…。


俺にどうしろっていうんだよ…。

心が苦しくなる。


戸惑っていると…長谷部が公園に入ってくるのが見えた。


やべぇ、なんか誤解されたかも…。


「アヤ…わりぃ、…ごめん」


俺はアヤを置いて、なんであいつを追いかけてんだろう。


「待てよ…長谷部」





アパートの近くまできたのに…

なんで田崎くんは追いかけてきたんだろう。


「長谷部…さっきの違うから」

するどい瞳が私の瞳と重なる。


違うってなにが?

よくわかんないよ。


「それって…友也のせい?」

いつもよりさらに低い声…なんだかこわい…

逃げられない。


「ち、ちがうよ…」

私はあわてて否定する。


田崎くんは、大きくため息をつく。


「なぁ、長谷部…だったら俺と付き合わね?」


彼は何を言っているのだろう…

私の思考は停止した。




振り返ったあいつは泣いてた。

友也のことよっぽどショックだったんだな…


あいつに傷つけられた長谷部の泣き顔をみたら、

ただ…なんか守りたくなったんだ…。


長谷部はそんな俺のこと、信じてくれるだろうか。



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