海が青い理由
「なんでうみさんは青いか、しってる?」
そう妹に聞かれた。僕はぎこちなく笑って、曖昧に返事をする。
……空が青いからだよ。
妹は僕の言葉に納得していないのか、不思議そうに首をかしげた。
「ちがうよ、うみさんは青がだいすきだからだよ」
目の前に広がる無限の青をただ見つめて、そんな言葉を吐き出した。その目は無気力に覆われ、ただ一点を見つめている。
その目はまだ小学生にもならない少女のする目ではなかった。
「あのね、うみさんはね、青いのがだいすきなの。でもね、かーくんとおなじでね、よくばりさんなの。だからね、うみさんは青いものをとってっちゃったの。だから青いんだよ。パパのくるまに、あかねのリュック、ぞうさんのすべりだいに……
――青がだいすきだったママ。