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天使様、初めての奇跡を起こす

なかなか思ったようには進みません。

もっとザックザック短くしないと10話で収まらない予感がします……。

いきなり『指示くれ』とか言われても困るんだ。

だって、ここで何やればいいかサッパリ分かってないんだもんあたしwww


辛うじて分かってるのって

あたしが頑張れば、数十万人の命が救われて、ラヴァンピース国民が滅びの運命から抜け出せるって事くらいだからね。


そもそも神様とか天使ってさ『ああ、どうかお助けください!』ってお願いされたことを叶えてやる立場じゃないの?

要するに受け身って事ね。頼まれたからやってあげるってスタンス。だから何か要望出してくれないとこっちとしても指示の出しようがないんだー。



流石に無言のまま見つめ合ってるわけにもいかなかったから

とりあえずそんな風な質問や疑問をラルフ君たちにぶつけてみたところ、なんかメッチャ微妙な表情された。


なんでも隣のギャリベン国 (頭でっかちでひ弱なガリ勉さん達の国)や、そのもう1個先のシュリープ国 (1日の平均睡眠時間が12時間のお寝坊さんの国)では

天使が国のトップに立って国民が幸せになるようあれやこれやと指示をだしてるらしいのよ。


この世界の天使パワフルだなwww

そんでもってあたしの思ってた天使のお仕事と180度違うんだけど、ここの天使業www


「天使ってそういうもんなの?」

彼らなりのナイスジョークかと思って、念のため確認したけど2人ともコクコク頷くだけだった。

つまりプルプル族――じゃなかったラヴァンピース国ってホンキで政治を丸投げする気マンマンってことよね?


無w茶w言wわwなwいwでwww

どこの世界に17歳の小娘に国政を丸投げする国があるってのよwww


そんな生臭い仕事じゃなくてもっとあるでしょ。天使に相応しい清らかな仕事がさぁ。

例えば奇跡の力で疫病を治めてみたりとかさ、祈りの力で洪水を防いでみたりとかさ。


ってわけで残念なんだけど『政治しろ』とか無茶振りされても、あたしじゃお力になれないと思うんだわwww


「では、我々はどうすればいいのでしょう……」

「てっきり天使様にお導きいただけるものと思っていたんですが……」


目に見えてショボンと落ち込むラルフ君たち。

でもゴメンよ2人とも。無い袖は振れないんだ。だからさ


「いきなり指示出すとかは無理だけど、別のことで役に立つことはできると思うんだ。

まずはそれが何なのか考えてみたいと思います!」


何事も前向きに行かないとね!


だってミカミによるとあたしってば他に類を見ないスーパー天使になれる可能性を秘めた女の子らしいんだ。

だから何か役に立てると思うんだよ。じゃないとあたしがここに飛ばされた意味なくなっちゃうからね!


「でも他の国では――

「よそはよそ!うちはうち!

出来ないことに関していつまでもクヨクヨしてる暇はないわ。さぁ顔上げて2人とも!」


パンパンと手を叩いてハッパをかけると、再びキラキラした笑顔に戻った2人があたしを見つめてくる。

おし!その心意気やよし!さぁ話し合いましょう。


「まず確認したいんだけど、天使って政治以外には何やってたか分かる?」

365日24時間。四六時中机に向かってガリガリ政治に精を出してました。って言われたら笑うしかないけど、そうじゃないとしたら大事な情報よね。


もしかしたら政治の傍ら、天使パワーを使って色々とミラクル起こしてた可能性もあるしさ。

そしたら政治は無理でも天使パワーを使ったあれこれは出来るかんね!


多分だけどねwww天使パワーの実感なんてまるで無いけどきっと大丈夫www

だって気がついたら羽も生えてたわけだし。きっと天使パワーも気がつかないうちに備わってるはずよ!


「「せーじ?」」

アレ?ちょっと待って。そこにひっかかっちゃう?流石にそれは予想外なんですけど。


「……もしかして政治って言葉分からなかったりする?」

「「お恥ずかしながら」」


ちょ、ちょっと待って!テレて頭掻いてる場合じゃないでしょ!

アレ?確か天使が国のトップに立って、ゴリゴリ国を動かしてるんじゃなかったんだっけ?なのに『政治』って言葉が分からないの?


そーいえばこの国の王様ってドア叩く人だったっけねwwwwww

それを考えればあながち不思議な話でもなかったりすんのかしらwwwwww


どーも、あたしの考えと2人の考えに大きな乖離がある気がする。

『国を指導する』っていうのは、あたしが考えるよりもっとフワッとしたものなのかしら?


「えっとね、どう言えばいいかな……。

あ、そうそう!指示を出す以外に天使の仕事ってないの?」


これなら伝わるはず。言葉を変えて改めて質問すると、ラルフ君が虚空を見上げて『んー……』と考え出した。

そのラルフ君の袖をチョイチョイ引っ張ってミカちゃんがヒソヒソ声 (筒抜け)でアドバイスを入れてる。


「先代様はたしか土地を祝福するために羽を蒔いてたんじゃなかったですか?」

「うん。そうだ。だけど確かそれだけじゃなかったと思うんだ。それが思い出せなくて……」


うん。スマンなラルフ君。答えてもらう間もなく情報をゲットしてしまったんだ。

でもちゃんと待つわよ?例え聞こえてたとしてもヒソヒソ声で相談してたんだから、知らんぷりしてあげるのがマナーだかんね。ミカミとは違うのよ。ミカミとは。


「あ!思い出したぞ。確か羽を使って――

「あなた。私じゃなくて天使様にお伝えしないと……」

「ん?あぁそうだった」


どうやら忘れてた方も思い出せたみたい。何よりだ。

ラルフ君はニコニコしながら、あたしの方へ顔を向けてきた。


「先代様は、土地を祝福するために毎日羽を蒔いてらっしゃいました。

何でも抜け落ちた天使の羽は強力な肥料になるらしくて、羽を蒔いてもらうと作物の実りがよくなると伝えられてます」


肥料ってwwwwww

なんちゅー世俗的な効果なのかしらwww神秘性が皆無じゃないのさwwww


「それと時々ですが、ご自分の羽を抜き取って様々な奇跡を起こされていたとも聞いています」

「ん?肥料以外にも活用方法があるってこと?」

「はい。何でも自然に抜け落ちた羽はすぐに光の粒となって消えてしまうらしいのですが

ご自分で抜いた羽は天使様が奇跡を起こすまで消えたりはしなかったそうです」


へぇー!流石天使様の羽ね。勝手に抜けたか、自分で抜いたかによってそんな違いがあるんだ!

ん。ってことはだよ


「抜け羽ってすぐ消えちゃうんだよね?そんなモロいものをどうやって畑に蒔いてたの?」

「畑の上を飛んでらしたみたいです」


なるほど空を飛んでる際に抜け落ちた羽が畑に落ちて肥料になってたと。

あ、だから『毎日羽を蒔いてた』って話になるわけね。羽なんてそうそう抜けるようなもんじゃないし、毎日飛んで蒔いてないと十分に肥料が行き渡らないのねきっと。


ってホント今更な話だけどあたしって飛べるんだねやっぱ。


「で、もう1つの自分で引っこ抜いた羽の方だけど、具体的にどうやって奇跡を起こしてたかわかる?」

「羽にむかって念じると奇跡が起きるらしいです」

「念じるのはあたしじゃなくても大丈夫なのかな?」

「いえ、念じて奇跡を起こせるのは天使様だけらしいです」


ということはやっぱり天使パワーみたいなものもあるって事か。

そう考えると自分で抜いた羽はさしずめ触媒みたいなもんなのかしら?


なるほど。なるほど。

ようやく何をやればいいのか、そのとっかかりが見えてきた感じだわ。


とりあえずはさ。


「ハーイ!それじゃこれから奇跡を起こします!」


まずはコレでしょwww

あんな話聞いて自重するとか無理www


いっちょその奇跡とやらを起こしてみようじゃないのさ!

難しい話は後々!奇跡を起こしてからでも遅くはないって!


もちろん初めてだし簡単そうな事しか試さないわよ?

いきなり『ちょっと今から海割るわwwwwww』みたいな空気読めない事はしないってば。


何がいいかなー。

あ、そうだ。


大分収まってたのに『おぉ……』とか言いながら再びプルプルし始めた2人を無視して、あたしは1枚羽を抜いた。


「あっ……」


"ニュッ”と抜けた……。何だろこの感覚。ちょっとだけクセになりそうな自分が怖い。

思わず変な声出ちゃったじゃないかwww


今しがた抜き取った羽を見ると、手のひらよりも明らかにデカい。

ウホッ!立派なサイズ。でもこんだけご立派なら初めてでも失敗したりはしないでしょ!


「さぁ刮目せよ!」

そう叫ぶと同時に念じると、キランッと羽が光る

光が収まった手のひらの上には、羽の代わりにあたしの望んだ奇跡の結果が残されていた。


2本の組紐。

もちろん願った通りの結果ですよ?


一連の様子をプルプルしながら見つめていた2人の元へ近づく。

フッフッフ。この組紐はあたしからのささやかなプレゼントだから、是非受け取ってくれたまえ!


「ラルフ君」

「は、はい!」


名前を呼ぶと、弾かれたように背筋を伸ばしたラルフ君がうわずった声を上げた。

そんなガチガチに緊張したラルフ君へ組紐を差し出すと


「これ使って」

「こ、これは……?」


ホンキで訳が分からない表情のラルフ君へ、あたしはニッコリと微笑みかけた。


「ピカピカの左右に1本ずつ取り付けてよ。

そんで、ピカピカを被ったときに顎の下で組紐同士を結んじゃえばズリ落ちる心配はなくなるからさ!」


ちょっと見た目はダサくなると思うけど、妻帯者だし別にいいよね!

それにやっぱり王様の冠がズレてるのってどうかと思うしさwwwwww


恐る恐る両手で組紐を受け取るラルフ君。


「「あ、ありがとうございます……!」」

何故かミカちゃんまで一緒になってお礼を言われちゃったけど、そんなに大したことしてないよ?

でも、まぁ。喜んでくれたようで何よりだけどね!


「大事に使ってくれると嬉しいです」

いまだにプルプルしてる2人にそう告げて、再び頑丈椅子に向かって踵を返しながらあたしは思った。


そういえばまだ何一つ解決してないな。と。

とりあえずは毎日空飛んでりゃいいのかしら?


まぁ、何にせよ。なるようにしかならないんだろうけどね。ウププwww

天使の羽はメチャクチャ頑丈って設定です。

勝手に抜けるか、天使自らが抜かないと決して抜けないって感じです。

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