間章
桔梗、桜、女郎花、橘_____ここには、さまざまな花が咲き乱れている。
ここは、天女の庭____そう呼ばれている。
咲き乱れる白桜に腰掛けているのは、一人の男。
男の髪は、艶やかに波打ちその端正な顔立ちはこの世のものかと疑うほど美しい。
「さすがは、天女の落とし子・・・琥珀様じゃ、まこと見目麗しい。貴方の前では着飾った花達もまるで朝霧のように薄れてしまう」
そう、声をかけてきたのは木の上で寝そべっている少年だった。
「琥珀様に気安く声をかけるでないわ。胡蝶」
いつの間に現れたであろうか純白の着物を纏った女が白桜の陰から現れた。女は、木の上で寝そべる青年をねめつけた。
「おや、お白姉さんじゃあないか。すまないね、あんたの木の上で羽を休ましてもらってる」
「恥知らずな蝶め、振り落としてやるわ」
「お止め、お白」
美しい凛とした声が聞こえた。女がまた一人橘の木の陰から出てくる。能面を被っているような肌の白い女だった。
「青紫ねぇさまの言うとおりよ。お白ねぇさまったら、琥珀様の前で取り乱してあたし恥ずかしいったらないわ」
また、いつの間にか鈴蘭が見事に咲いている場所にちょこんと少女が立っている。
「子鈴、お前ぇー」
お白が、少女を睨みつけると少女は慌てて姉の紫の袖の下に隠れた。
「青紫ねぇさま、子鈴を守ってくださいな。お白ねぇがまたあたしを叩こうとなさるの」
この様子を高みから見ていた蝶は笑った。
「これまた、お美しくなられて花の姫君達。琥珀様も罪なお方じゃ」
そう言ってけけけと子鬼のように笑う。女たちは、そんな子鬼のように笑う少年を一斉に睨みつけたが、琥珀が笑っていたのに気がついてすぐに恥ずかしそうに俯いた。
「胡蝶」
胡蝶と呼ばれた少年は、身を起こすとふわりと寝転がっていた木から下りた。
少年の着物の見事な蝶の柄が風をはらんで舞い上がる。
「それで、どうだったんだい?八咫の鏡は大帝の手に落ちたかい」
少年は、にたりと笑った。
「それが、面白い事になったんだよ」
世界観つかめなくてすいません・・・




