プロローグ
漆黒の闇だとゆうのに赤々と大地は燃えていた。
火の手から一里ほど離れた森に二つの影がひっそりとその光景を見つめている。
赤々と天を照らす魔性の光________それは美しくそれでいて惹きつけられるものがある______だが近づけば身を破滅に導くであろう破滅的な美しさ________
二つの影は、その魔性の光を睨むようにして立っていた。
それは、一頭の雄々しい立派な角を持った白鹿と小さな老婆_______
白鹿は、悲しそうに鳴いたかと思うと口を訊いた。
「おのれ大帝め、やりおったな・・・・・・」
その声音は、悲しみを含んでいるようにも聞こえるが、白鹿の双方の目には憎しみと軽蔑の光がらんらんと輝いていた。
老婆は、白鹿をなだめるように優しく撫でた。
「カジカや、身を鎮めなされ。荒れ狂う眼のままでは真実は見えませんぞ」
白鹿は、頷いた。
「天津神の時代は終わりつつあるのじゃ、カジカ・・・・これからこの中つ国の三つの国は一つにならなければ・・・・・・今こそ我らの中つ国の王を見出さなければ・・・・・・・・」
「では・・・・おおしろの婆・・・・・」
白鹿は、息のみ老婆を見つめた。
「新たなる時代が、始まるのじゃ________心せよ、カジカ。三種の神器の正統な後継者を探すのじゃ。」
白鹿は、頷くと老婆に頭を垂れそして、また高く鳴いて地面を蹴って闇の中へと駆けていった。