表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/41

4話 後章2

「さて、言えよ。お前が選んだゲームで戦ってやるよ」

この空間に引き摺り込まれた時点で、俺の勝てる確率は1%も存在しない。だが、何かしらのルールの穴はあるはずだ。それをつければ、勝てるはずだが……。

「………今考えても仕方ねぇか。じゃあ、ポーカーで」

「ポーカーか、わかりやすくて良いね」

二人の間を割って入るように遊戯台が出現して、そこにはトランプが乱雑に置かれていた。

「シャップルはそれぞれやるとしよう。俺がやってから、あんたがやって良いぜ」

「ご丁寧にどうも」

寒水がやったあと、シャッフルを行う。

どうやら、トランプに何かしらの種があるわけではないようだ。

「イカサマはやりながら確認するしかないか」

「ちなみに、賭け金は名前に倣って、お前の魂だからな」

「良いのかよ、テメェの賭け金は一つしかないんだぜ?」

「それぐらいがちょうどいいハンデだろ?」

絶対勝てるってわけか。

いつ死ぬかわからない以上、俺もそれほど死んでやれねぇが、それまでにわかるか?

「じゃあ、勝負と行こうか」

トランプを中央に置いた瞬間、それぞれの胸元からチップが飛び出し、目の前に置かれる。

「さて、第一勝負だ」

トランプは上から10枚が浮き、それぞれの手元に5枚配られる。言葉の手元に来たのは、5と10のツーペアだった。

「交換の時はそのトランプを台に置けば勝手になるぜ」

「………へいへい」

一枚を台に置くと、すぐさま補充がされた。

「…………」

手元に来たのは5であり、フルハウスが完成した。

そこそこの役だが、おそらく負けるだろうな。

「あ、遅くなったが、交換は2回まで。そして、終わる時はコールでいい」

「………コール」

「僕もコールだ」

二人の宣誓が終わると、手元のトランプが飛び出して、中央に置かれる。

「僕は、3のフォーカード。歴木はフルハウスか。どうやら、はじめは僕の勝ちだ」

「ちっ、白々し……うっ」

なんだ。

甲高いファンファーレがなったと思ったら、魂を引き出されたような感覚があった。

「改めて見ると不思議だね。不死がやると、死ぬんじゃなくて意識の混濁……いや、消失するだけか」

最初でわかるとは思えないが、推測はある。どこにもタネがなかった。と言うか、イカサマが入る余地がなかった。

「領域効果ってところか」

「ご明察。伊達に死線をくぐってないね」

ニヤリと笑いながら、寒水は台に足を乗せながら踏ん反り返る。

「さて、続く2番」

再びトランプが配られ、言葉に来たのはKのフォーカード。

「……ッ!?」

事前に配られるのは不自然なカード。

だが、狙って出せるような役じゃない。

「交換は2回までだ。しねぇのか?」

「あぁ、必要ねぇ」

「そうか、よほどいいものが出たんだな。コールッ!」

「コールだ」

そして、並べられる。

「……っ!?」

言葉は驚かずにはいられなかった。

「ロイヤル…ストレート……フラッシュだと」

「Kのフォーカードか。なかなかだったね」

「クソがッ」

再び訪れる意識の消失。

「ハァハァ………」

体に手を突っ込まれて、直接引き抜かれるような感じだ。

「おいおい2番だぞ?息が切れるのが早くはないか?」

「クッソ……」

どうすればいい。

どうやれば勝てる。

「次、3回目だ」

トランプを受け取るが、言葉にはそれを確認するほどの体力は残っていなかった。

「ハァハァ………」

「うんうん、だいぶ効いているようだな。まぁ、長引かせてそのまま消してもいいけど、僕が決着をつけてあげよう。ベッド」

寒水の無慈悲な宣言が、チップを1枚から1000枚へと一気に増幅させる。

「なっ………!?」

「遊戯なんだから、賭け金は増えるに決まっているだろ。当然僕が親だからね、君にも同じ賭け金を張ってもらうよ」

「何!?」

言葉の側も一枚から1000枚へと増える。

「さて、コールだ」

「ぐっ」

何をやっても勝てないなら。

「………コール」

結果はもちろん寒水の勝利で終わり、言葉は瞬間的に1000回分の死が与えられる。

「ガッ」

言葉の意識は完全に消失し、その場で倒れ伏せる。

「まぁ、1000回も死ねばさしもの異能殺しも死ぬか」

寒水は欠伸をしながら手元でチップを弄ぶ。

すると、ドンと向かいの台から音が立つ。

「おや、早い復活だったな」

台に手をついて、這い出してきたのは、先ほど違った雰囲気を纏う言葉だった。

「『インストール』」

そう言霊を吐き、髪を勢いよくかきあげる。

「チッ、いやな寝覚めだな。俺は死んだつもりだったんだがな」

「おはようと言った方がいいか?」

「黙れ、クソガキ」

頭を抱えながら、椅子に全体重を預けて、台に思いっきり足を乗せる。

「そこのガキ、一回だけ遊んでやる。さっさと始めろ」

「はっ、クソガキって言ったことを後悔させてやるよッ!4回目ぇ!」

トランプを受け取る。

そして、言葉はトランプに目を落としながら呟く。

「チップは1000枚か。随分とさもしいんだな。ベッド!」

チップは倍の2000枚へと増える。

「何ぃ!?なんのつもりだ」

「黙れ。ベッド」

倍の4000枚へ。

「チッ、いちいち言わないと変更できないのかよ。ベッドベッドベッドベッド………」

そのあと、何十回もぶつぶつと言う。

すると、目の前には5000万枚ほどのチップが置かれる。

「こんなもんか?まぁこんなもんか」

「なっ、なんだ」

寒水は驚いた。

先ほどまでと打って変わっていることもそうだが、チップというのはいわゆる死ねる回数だ。相手だけがその対象であるが、歴木言葉はあと5000万回以上は死ねることになる。

「いちいち驚いてんじゃねぇよ。ほら、これが俺の役だ」

投げられたトランプ。

そこには、ロイヤルストレートフラッシュが描かれていた。

「おいおい!こんなのイカサマだろ?」

「あぁ、そうだが?それ、なんの確認だよ」

寒水は目の前で置かれた役に対して、全身から汗を噴き出す。負けるということは、5000万回の死に直結する。

だが、目の前にはワンペア。

領域効果で必ず勝てるということは、目の前のカードはブラフであって、ブタであるはず。

「必ず勝てるようになってんだろ?さっさとコールしろよ」

「ハァハァ………なんだ、なんなんだお前!」

「異能殺し様だ。以上、コールしろ」

「コ……、ココココ…………」

「ハハハ、鶏かよ」

嘲笑しながら、寒水の不様を指摘する。

「ハァハァ………コォ………」

寒水は窮地の経験が少なかった。

勝ちの盤面から圧倒的な負けの盤面にひっくり返されたこと、そして相手をはめるための逃げ場のない殺人が自分に迫ることを。

「あぁぁぁぁ」

寒水のそのうめき声と共に、周囲の領域が瓦解を始める。

「ストレスで死んだか。結構呆気なかったな」

ポケットに手を突っ込みながら、青空に向かって欠伸をする。

「さて、『英雄』。お前の役割は終わってねぇぞ。くたばってるんじゃねぇよ」

そう言い終わると共に倒れ伏す。

数秒後、言葉は瞬時に立ち上がる。

「ハッ!あれ、俺、生きてる?」

周囲を瞬時に見渡すと、そこは宗谷岬だった。

「あれ、終わった……のか?いや、そんなこと気にしている場合じゃねぇ。『吹っ飛べッ!』」

言葉は瞬時に踵を返し、自分に言霊を叩きつけて空を飛ぶ。

「待ってろよ、みんなッ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ