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4話 後章1

「はっ、『残響』か。ご立派な名乗りじゃねぇか」

「真似事もここまでくれば立派だね」

これは1分と持ちはしないだろう。

だが、"俺"であればそれができるはずだ。

「ごちゃごちゃ抜かすのがテメェらの流儀なのか?そっか、認識を害することしか出来ねぇもんな?」

「テメェ、何が言いてぇんだよ」

「言葉通りの意味だ。そうやってちまちま時間稼ぎして、俺が消えるのをオドオドビクビクするしか芸がねぇんだろうが」

「はっ、さっきまで死にかけてた奴がよくイキがってんじゃねぇよ!」

襲いかかる教楽来に対して、残響は冷静に対処する。迫り来る拳の内側に腕を滑らせてから逸らし、無防備になった教楽来の顎を蹴り上げ、瞬時に銃を手放して、鉄山靠で勢いよく吹っ飛ばす。

「なっ!?」

「仕様変更してんだ。さっきの同じだと思ってると死ぬぜ?」

吹っ飛ぶ教楽来に対して、瞬時に足を踏み出して追いつく。振りかぶる拳には光が収束していき、ガントレットを生み出す。

「オオオッ!」

教楽来の顔面を確かに捉え、近くの壁へと激突させる。

「出力、異能。先ほどとは全く違うみたいだね。なら、これはどうだい?」

雀居は《詐称》を発動させ、残響は銀鏡鈴鹿であると嘘をつく。

「何?」

だが、異能は一向に効果を示す予兆はなく、残響を解除させることはできなかった。

「『残響』ってのは、俺が勝手に名前をつけただけで、本来であればノーネームだ。そして、さっきも言っただろうが。俺は銀鏡鈴鹿じゃねぇと」

「存在まるごとの転化だと!?馬鹿げている!そんなことをすれば反動で存在ごとの抹消も」

「だからなんだ。テメェらが気にすることじゃねぇさ」

「何ベラベラ喋ってんだ!テメェの相手は俺だろうが!」

教楽来は異能を発動させながら突進を始める。

「ハハハハハッ!今度は息のやり方すらも忘れやがれ!」

「学ばねぇな」

残響はその場で、ただ右手を構える。

「何してんだ馬鹿がぁ!」

そう言いながら、教楽来は右手に蹴りを入れ、見事防がれてしまう。

「なっ!?」

「行動の誘導だ。ものの見事に引っかかってくれるとは、わかりやすくて助かるぜ!」

そのまま足を持ち上げて、雑に横へと放り投げる。

「ぐッ」

教楽来は体を旋回させながら、屋上のギリギリで着地をする。

「なんでだ!テメェ!なんで俺の異能が効いてねぇんだ!」

「お前ら二人とも解釈不足だな。今の俺は所詮は情報の集合体であって、明確な個人を持った存在じゃない。テメェらみたいな異能は、個人としては存在している人間に対しての特効に過ぎないんだよ」

あと、30秒。

決着(けり)をつける。

「今度は俺からだ」

残響はその場から消え、教楽来の顔を掴んだあと、そのまま雀居の前へと姿を現して顔面を掴んで勢いよく屋上から飛び出す。

「テメェ!何を考えてるッ!」

「自殺かい?なら、君だけでやってもらうよ!」

雀居は異能によって、再び屋上へと戻ろうとする。だが、残響によってそれは阻止される。

「ッ!?異能が」

「情報の誘導だ。テメェがやっているのは嘘によっての定義の透過。だが、私はそれを否定できる」

「簡単に落とさせるかよッ!」

教楽来は残響の腕を攻撃して手を外し、瞬時にもう片方も蹴って雀居の腕も離させる。

「テメェが先に落ちやがれ!」

そのまま残響の頭を掴んで、馬乗りとなって地面へと叩きつけようとする。

「十分だ」

そう呟いたあと、残響は瞬時に霧散して、二人の真上へと出現する。

「なっ!?」

「さぁ、ここからが必至だ」

両手から二丁の拳銃を出現させて、二人に向かって銃口を向ける。

「『死ね』」

誘導を付与した必中の銃弾が襲いかかる。

「見事だよ。ここまでくれば、私も出さざるを得ない」

雀居はニヒルに笑いながら、異能の出力を上げる。

「因果詐称 虚構偽証(ライアー・ライアー)

雀居から世界が出力され、周囲の空間がわずかに捻じ曲がる。

「これで決着だ!」

弾丸は雀居と教楽来の両名の額を打ち抜き、その死体は地面に叩きつけられて、勢いでバラバラになる。

「終わった………」

残響によって与えられた情報は霧散して、銀鏡鈴鹿という情報が戻り、情報が戻ったことでその存在が確立される。肉体はボロボロのものへと戻る。

「先輩………、私頑張りましたよ」

安堵をしながら手に視界を落とすと、指先はわずかに消えかけていた。

「ッ!?まさかッ!」

「あぁ、そのまさかだよ」

後ろを振り返ると、そこには先ほどボロボロにしたはずの二人が、傷一つもなく存在していた。

「なんで…………」

「私の異能でね、死という因果を騙したのさ。まぁ、死んだけど死んでないことにしたってわけだね」

「そうか……、そっか」

銀鏡は笑うしかなかった。

纏縛残響によって誤魔化していた忘却の反動が再び襲い、銀鏡の存在が極限まで薄くされていた。

「すみません、先輩。私、負けちゃいました」

空を仰ぎながら、銀鏡はどこか爽やかな笑顔を浮かべる。

「覚えておいてくださいよ。私、あなたの後輩なんですから」

そう言って、銀鏡の存在は空白となって消えた。

「雑魚かと思ったら、とんだ化け物だったな」

「二人で戦っておいて正解だったろ?」

「あぁ、俺一人なら間違いなく殺されてたな」

「誰かわからなくなったけど、君は違いなく強かったよ」

二人は空白に対してそう言いながら、言葉のいる学校へと向かった。

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