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Gloroa Sacrificii 番外編 「忠義」
掟というものがある。
どの単位で定められているかはそれぞれだろうが。
私にとってこの掟は、私への掟だった。
いや、常識だった。
りんごを「りんご」と呼ぶように。
空が青いように。
誰もが知っていて、聞くことが恥となるようなこと。
幼少期から当たり前と育ち、疑う余地のない常識。
そんな常識に生き、常識に死ぬ私の生涯は、決定されていた
はずだった。
イレギュラーというのはいついかなる時も起こり得るものである。
本来なら私は寿命を迎え死ぬはずだった。
そう書いてあった。
視界に闇を感じながら、後悔と屈辱に苛まれる。
掟を守れない。
常識が覆る感覚。
空が蛍光色に染まったような。
重力が真逆になったような。
絶対に有り得ない情景を見てしまった。
私 が 死 ぬ ?
少女は現実を受け入れぬまま、地を汚す汚物と成り果てた。




