3/10
Gloroa Sacrificii 番外編 「友情」
友。
という言葉を聞き、持つ感情はおおよそ一つであろう。
志を共にする仲間。
具体的な言葉としてわからなくとも、こう言われればまあその通りだろう。
友のため、果ては親友のため。
そんな言葉は情熱に満ち溢れ、暑苦しい。
そんな暑苦しい男は今、絶望の奥底にあった。
自慢の拳をいとも容易く受け止められ。
友を守ると誓った足は引きちぎられ。
ゆらゆらと自由に揺れる自分の体の動きを感じながら、どこで失敗したのかと後悔する。
抵抗しようにも力が湧かない。
刻一刻と近づく死に。
痛みと裏腹にどこか苦しさが引いて楽になっていく体に。
不思議と恐怖はなく、ただただ心配が残る。
友が立てるまで時間は稼げただろうか。
眼の前の化け物の気は反らせただろうか。
いつまでも暑苦しく友を想い、いつまでも心優しい男の生涯に間違いはなかったのか。
きっと本人は後悔はないなんてぬかすだろう。
男の死が友に、他人にどのような影響を及ぼすか考えもしない、途方もない馬鹿が。
結果として男の死により、友は大義を成し遂げた。
それは幸せだったのだろうか。
誰にもわかりはしない。




