第四話 一目惚れ
3つ、この世界には、神が作り出した、アーティファクトと呼ばれる神器が存在する、その神器は千つの種類が存在すると言われているが、各種類一つしか存在しない、また、神器はどんな手を使っても壊すことができない。
「あれ取って」「次こっち」「そこじゃない!」「何度言ったら分かるんですか!?」
アキラ「スミマセン...スミマセン」
次々と出される指示に手が回らず、また叱られてしまうアキラ。
加奈子「使えないですね!」
アキラ「そこまで言われちゃうのか」
正座で座らされ、眼鏡を光らせ、ハリセンを持ち、仁王立ちの加奈子、嘆いて落ち込んでいるアキラに邪言が声を掛ける。
邪言「ハッキリ言われちゃったなアキラ、ウケる」
アキラ「心配してくださいよ!!」
壁に寄りかかりながら見物してる邪言は、心配するわけでもなく、何ならアキラをあざ笑う、続けざまに加奈子がアキラの肩にパアァン!!とハリセンを叩きこむ。
加奈子「ホラァ!!反省しなさい!」
アキラ「イタァイ!スミマセン...スミマセン」
邪言「まぁまぁ、アキラでストレス発散しないであげてよ加奈子ちゃん、その辺にしてやって?ちなみに何で怒られてるの?」
アキラ「加奈子さんが仕事しろって言うけどなにしたらいいかわかんなくて、加奈子さんの仕事手伝おうと思ったけど、間違えてばっかで」
加奈子「ほんとですよ、まぁあとは邪言さんが面倒見てくださいね」
手を広げ、呆れる加奈子、もう面倒は見ませんと言うかのように、邪言に言う。
邪言「いや!面白いからアキラ君はこのまま加奈子ちゃんを手伝いなさい!」
邪言が人差し指を立てて提案する。
加奈子「ハァ!?何で私が!?」
アキラ「スミマセン...スミマセン」
邪言「え?面白そうだから」
唖然とする加奈子、きっとなんで私がこんな面倒ごとを押し付けられなければいけないのかと考えているのだろう、アキラからするかなりラッキーだ。
加奈子「でもこの子邪言さんが連れてきたじゃないですか!」
邪言「ん~確かに、じゃあ引き継ぎを音無加奈子君!君に任命しよう!」
雷にでも打たれたかのような顔で驚いている加奈子、そんなことも気にせず立ち去る邪言、残された二人、半泣きの声で加奈子が言う。
加奈子「じゃあ、仕事の続きします」
アキラ「そんなに嫌ですか?」
消え入りそうな声でアキラが聞く、即座に答える加奈子。
加奈子「はい」
続く沈黙。
アキラ「ふっ、ははは!そんなに正直に言いますか?普通?」
あんまりな態度に思わず吹き出すアキラ、なぜ笑ったのが理解できずに目を丸くする加奈子。
加奈子「?今のどこに笑う要素があったんですか?」
アキラ「いやいや!流石にあの態度はひどくないですか!?」
手を振り否定するアキラのあまりにも必死の説明に加奈子も吹き出してしまう。
加奈子「ふふふっ、確かにそうですね、でもアキラ君が仕事できないのがいけないんですよ!」
アキラ「それは!...そう」
加奈子「あはは!そこは引き下がっちゃうんだ!」
アキラの返しで腹を抱えて笑う加奈子、その様子を見てアキラも一緒に笑ってしまう。
アキラ「はははっ!」
加奈子「あはは!あっ」
顔を見合わせて笑う二人、気まずくなったのか急いで振り帰る二人、アキラは真っ赤に赤面している。
(やべぇ!めっっちゃ緊張する!心臓バックバクだ、絶対顔真っ赤だ、バレてないよな?)
加奈子の方を確認してみると加奈子も振り向いていて、耳の先の先まで真っ赤だった。
(加奈子さんも緊張してる?耳真っ赤だ、やっぱかわいい...俺...加奈子さんのことが...)
加奈子「さぁ!仕事の続きをしますよ!」
腰に手を当て、さぁやるぞと気合を入れて言う加奈子、俺も手伝いますとアキラも啓礼のポーズで立つ。
アキラ「次は何ですか?使えないですが頑張ります!」
加奈子「ふふっ、じゃあ次はこっちを」
アキラ「はい!」
二時間後
病室のベットに隣り合わせで座る二人
加奈子「ふぅ~終わりましたね」
アキラ「あ~腰が痛い」
加奈子「ふふっ、おじいちゃんみたい」
両手の人指し指を指して、冗談を交じらせ、伸ばして言うアキラ。
アキラ「あ~それ友達にも言われるやつ~」
加奈子「アキラ君の体が老化してるんじゃないですか?」
アキラ「それはひどくない!?」
加奈子「あはは!あっ」
口元を抑えて笑う加奈子、また顔を見合わせて顔をそらしてしまう二人、静寂が続き、気まずい空気が流れる、その静寂を邪言が破る。
邪言「どう~?仕事は終わった~?あ、今いい感じだった?ごめんね~帰るね~」
加奈子「帰らなくていいです!」
邪言「え?でも今いい感じなんじゃ?」
加奈子「アキラ君に本来の仕事を教えてあげてください」
邪言「ああ!そうだね、忘れてたよ、さすが加奈子ちゃん」
割って入る様に質問する。
アキラ「仕事って何するんですか?」
邪言「まぁまぁ、行きながら話そうか」
邪言がドアの外の方へ指差しする。
アキラ「はい、分かりました...加奈子さんばいばい!」
中腰でバレない様に手を振り、小声で加奈子に別れを告げ、邪言について行き廊下に出る、
アキラ「なんか病院みたいな廊下ですね」
アキラが言うように、廊下は全体的に明い白色で構成されて、所々にあるドアは空色、壁のいろんなところに手すりが配置されている、
邪言「あ~そうそう。みんな負傷しがちだから、こんな感じになったんだよね」
アキラ「へ~、それで本来の仕事って何するんですか?」
歩きながらアキラが質問すると、邪言が立ち止まり顎に手を当て考える。
邪言「う~ん...何してもらおうかな~?あっ!」
邪言が廊下の角から姿を現した誰かに気が付いたか思うと、速足で男に近き、肩を組む。
邪言「うぇーい、炎人、今いい?」
アキラ「えんじ?」
邪言が肩を組んだ猫背の男は、ダルそうに邪言に聞き返す。
炎人「なに?面倒なのは嫌なんだけど」
青い髪を後ろへと流した髪型、青い目、パーカーのポケットに手を入れ、アキラの方を睨む。
炎人「あれ誰?」
邪言「新人、結構前に基地揺らしたやつだよ」
炎人「へぇ~~、それで?僕に何の用?」
アキラを睨みながら邪言に質問する炎人、
邪言「ちょっとさ~...ごにょごにょ」
小声で何かを言う邪言、それを聞いて背をそらしてダルそうに言う。
炎人「え~、めんどくさい、それになにしたらいいの?」
邪言「後々説明するから、そこをなんとか!」
手を合わせてお願いする邪言、しばらく邪言を見た後、しぶしぶ承諾する炎人。
炎人「ハァ~、今度チョコスト買ってね」
邪言「ありがとう~!じゃよろしくね~」
承諾するのを見てすぐさまどこかへそそくさと去っていく邪言、それを見届けた後、炎人は頭を掻きながらゆっくりとアキラにダルそうに歩み寄る、前に立ち、眼を瞑って、息を吸うと、大きなため息をつく。
炎人「ハァ~~~、じゃ、行くよ」
アキラ「へ?どこに行くんですか?」
炎人「ハァ、そのぐらい察して」
アキラ「えぇ?」