第三話 頑張れ
4つ、この世界には、神が作り出した、様々な種類の知的生命体が1000体が存在する、その知的生命体は、地球だけでなく、宇宙の隅々の星にその知的生命体は潜んでいる。
アキラ「うおおおおおおおおおおおあああああああああ!!!」
すぐ後ろに迫っているライオンから逃げて10分経過、邪言さんは車の中で呑気に寝て待っている。
アキラ「ふざけんなあああ!なんで腕生えてんだあああ!」
ライオンは一番最初の時と大きく違って、背中から長い腕を4本生やし、そのかぎ爪で大地を切り崩しながら突進してきている、体も大きくなっている気もする。
アキラ「どうしたらいいんだ...?邪言さぁーん!」
(やっぱ出てこねぇ、熟睡してやがる!少しでも足を止めればあの爪で切り殺される、ん?足も増えてね?)
アキラがライオンの足が二本増えてることに気づく、足が増えたことにより、ライオンのスピードが上がる、アキラとライオンの距離は徐々に縮まる、真後ろから聞こえる、コンクリートをいとも簡単に切る音。
(やばいやばいやばい、俺死)
思考の間もなく、アキラは服のどこかに引っかかった爪に大きく吹き飛ばされてしまう。
(俺...飛んでる?)
崩れたコンクリートに打ち付けられてしまう。
アキラ「ゴホッ」
(声すら出ねぇ、俺死ぬのか...?皆に合えるならそれでもいいか...?いいか)
「頑張って!」
アキラ「!!」
頭の中に響く声、ナツミの声だ、そうだ、お父さんも言っていた「負けるな」と...視線の先に気になる物が有った。
アキラ「お母さんの、ハン、カチ」
(あれは夢じゃなかった!原理とかはわかんねぇでも!服にも入れた覚えのないあれがここに有る!)
右ポケットをまさぐる、するとそこだけ綺麗に引き裂かれていた。
アキラ「ははっ、ある意味感謝するぜ、ライオン...!」
ボロボロの体を奮い立たせる、ハンカチを拾い、無事な方のポケットに入れ、拳を天に掲げ、誓う。
アキラ「俺は負けねぇ!”ヒーロー”だから!!」
拳に力を込める、足を動かそうとすれば全身に激痛が走る、これ以上動けば体が壊れてしまうかもしれない。
アキラ「来い!」
餌を見失ったライオンは再び見つけた餌を食らおうと唾液を滴らせ、獲物を睨み、再び猛進する。
アキラ「うおおお!!!ぶっ壊れろおおおお!!!」
アキラもライオンに走り出す、人は死ぬ直前に見える光景がスローモーションに見えるという話を聞いたことがあるが、まさにその通りだった、だが、そのおかげだったかもしれない、遅い動きの中で確かに、ライオンの鼻先に、思い切り振った拳が当たる、次の瞬間、ライオンがものすごい速度で基地の方へ飛んで行ってしまう、ドゴォーン!!!とでかい音を立てて、が基地にぶち当たる。
アキラ「あ...やべ」
ライオンが当たった衝撃で目を覚ました邪言が「なんだ!?」といい急いで車から出てくる、
邪言「おい!アキラ!生きて...」
へこんだ基地の様子を見て唖然とした邪言がライオンを震える手で指を指し質問する。
邪言「あ...あれ...お前がやった?」
アキラ「は...はい」
戦闘を無事に生きて終えられたことに安堵し、質問に答えた瞬間、気を失い、倒れてしまう。
「負けるな」
その言葉が、真っ暗闇の意識の中で響き続ける。
アキラ「知らない天井だ」
真っ白で所々に黒い線のある天井、それを見ていると、少し怒っているような、作り笑顔何とも微妙な表情の邪言が視界に頭を覗かせる。
邪言「起きた?おはよーあの後の処理大変だったんだからね?他の邪四にも怒られたし金は私が全額負担だって言うし」
アキラ「もうちょっと、ゆっくり、お願いします」
早口の邪言を制止する、間髪入れずに質問する邪言。
邪言「お前金有る?」
アキラ「え?...えっと、口座にあと百万円ぐらい」
訳が分からず、咄嗟に答えてしまう、すると邪言は両手を上げ叫びながらどこかへ走り去ってしまう。
邪言「ちょうどだ!ありがとー!」
アキラ「え?...え?」
邪言は視界から外れてどこかへ去って行ってしまう、何か言っていたが、そのことを考えていると、次は知らない人が視界に入る。
???「全く邪言さんの言う通りです!あの時に手が滑って患者を傷付けてしまったんですからね!」
眼鏡を掛けており、髪色は茶髪で髪型は三つ編みにツインテール、白衣を身にまとった女の子がこちらを覗いていた。
アキラ「かわいい...」
ぼんやりと思ったことを口走ってしまう。
加奈子「はい?なにか言いました?」
アキラ「あっいえ!えっと、あなたは?」
名前を尋ねると彼女は快く答えてくれる。
加奈子「私ですか?私の名前は音無 加奈子です。」
アキラ「かなこさん...」
名前の響きが少し心地よく、そのまま名前を口走ってしまう。
加奈子「頭がまだボーっとしますか?」
アキラ「あっいえ!全然大丈夫です!ほらこの通り!」
慌てて袖を捲り上げ、腕をぶんぶんと上下に動かす。
アキラ「イデッ!」
アキラが腕を振ったせいで余計にダメージが入る。
加奈子「やっぱりまだ大丈夫じゃないですか!顔も少し赤い、熱かな?」
加奈子はアキラのおでこに手を当て体温を確認する、にアキラの顔は真っ赤になってアキラは息を吸いながら控えめに叫んでしまう。
アキラ「はぁぁぁぁぁ!」
緊張のあまりそのままベットに倒れこんでまた意識を失ってしまう。
アキラ「知ってる天井だ」
加奈子「何言ってんですか、もう治療しておいたので、早く出てってください」
加奈子があきれた様子で手を払い、アキラに言い渡す。
アキラ「あ...はい」
しぶしぶ部屋から出る、足でしっかり歩ける、本当にしっかりと治療されていた。
アキラ「お~スゲ」
部屋の外で壁に寄りかかり、邪言さんが待っていた。
邪言「アキラくぅ~ん、いや~助かったよ~、君のおかげで私は金を払う必要がなくなった」
アキラ「はい?」
何のことかと思い返していると、邪言さんが言っていたことを思い出した。
アキラ「え......え!?」
邪言「ハハハ!おもろ、思い出した?」
煽る様にニヤケた顔をチラつかせる邪言にアキラが質問する。
アキラ「え?いや?え?俺のお金って?」
アキラの質問に両手を上げて答える。
邪言「無くなったたよ、すっからかん」
アキラ「ハァー!?俺これからどうしたら!?」
相変わらずのニヤケ顔でなだめるように邪言が言う。
邪言「まぁ、飯ぐらいはおごってやるよ」
邪言が上から目線でものを言うと、アキラはか怒った様子で言い返す。
アキラ「いやいやいや!!俺のお金何勝手に使ってんっすか!?」
手を大きく横に振り否定するアキラ、困惑した様子で邪言が言う。
邪言「え?...ほら、あれじゃん、元々~お前が壊したじゃん」
アキラ「あ...た、確かに」
邪言「な?だからその分の金は出してもらわないと」
アキラ「ぐぬ~」
アキラのしかめっ面をしっかりと確認して、邪言は「バイバーイ」と手を振り、どこかへ立ち去っていく、アキラが両手を上げて叫ぶ。
アキラ「何も!!!無くなった~!!」
加奈子「うるっさいですね!!!なんなんですか!」
加奈子が病室のドアをバンッ!と勢い良く開けて叫ぶ。
アキラ「ア...スミマセン...」
ビクッと驚いたアキラに、呆れた果てた様子で加奈子が質問する。
加奈子「ハァ、なにが無くなったんですか?」
アキラ「えっと、色々」
加奈子「色々って...ハァ、もういいです、早く仕事をしてください」
アキラ「あ、あの仕事って、なにしたら...?」
恐れながら聞いてみると、加奈子が切れ気味に返す。
加奈子「そんなこともわからないんですか!?」
アキラ「ハイ...スミマセン...スミマセン」
泣きながら謝るアキラに加奈子は病室に来るように手招きする。
加奈子「ハァ、じゃあ私を手伝ってください、分かりましたか?」
アキラ「はい!」