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第二話 所属

5つ、この世界には、神が作り出した”ルール”が存在する、その”ルール”は絶対である。



邪言の指示で、小さい頃よく遊んだ近場の公園で待つことになったアキラ、つい、ダイキとナツミと遊んだ記憶思い出し、懐かしい記憶に浸ってしまう。


アキラ「この公園も懐かしいなぁ、滑り台でよく遊んだなぁナツミも、ダイキも...」


邪言「ヘーイ!アキラー!!」


思わず体をびくっとさせてしまう。


邪言「ハハハ!めっちゃびっくりしてんじゃん!超ウケる!」


アキラ「びっくりさせないでくださいよ邪言さん」


車の窓から腕をかけ、サングラスを掛けた邪言がニヤニヤとアキラを見ている、親指を立て、後ろに二回指差しをして、「乗れ」と言う、速足で助手席に乗り込みどこへ行くのかと聞いてみる。


アキラ「これどこに行くんです?」


邪言「魔王軍の基地、にしてももっと遅くに連絡してくると思ったよ、立ち直りが早いのはいいことだ、学校は?」


アキラ「退学しました」


邪言「おー、まぁ復讐だしなぁ、そんぐらいはするか、あの後はどうした?」


アキラ「何すればいいかわかんなかったッすけど、とりあえず、警察とか救急車とか呼んで、警察には、平和協会がやったって言ったんですけど、信じてくれなくて、魔王軍のせいにされてました、そのあとは。あんま覚えてないんですけど、火葬したり、墓作ったり、そんで、」


思い出すと涙が溢れそうになる、上を向き涙が落ちるのを止める、嗚咽を我慢する、すると邪言さんが優しく背中をさすってくれる。


邪言「ゆっくりでいいぞ」


アキラ「みんなを見送って、家には俺一人になって...学校の友達ともお別れして...俺一人になって」


遮るように邪言が言う。


邪言「一人じゃないでしょ、はい、ハンバーガー、暖かいもん食っとけ」


渡されたハンバーガーは、言うほど暖かくなく、全体的に乾いていた、だがそれでもアキラの心は確かに温まった、言われた言葉に思わず涙が溢れてしまう、見られるのが嫌で、顔を手で覆い隠す。


アキラ「邪言さん...ありがとうございます...!」


邪言「おいおい泣くなよ、私が悪いみたいじゃないか」


邪言はそう言いながらアキラの頭をガシガシと雑に撫でる、嗚咽まみれでアキラは返答する。


アキラ「はい、すんません、こういうの、久しぶりで」


邪言「ハハハッ、大丈夫だよ」


アキラ「はい...はい...!」


安堵したのかアキラは眠りに入ってしまう。




「ア.......ラ......ア...キ......」


なんだ?誰だ?何も見えない、真っ暗だ、ここはどこだ?


「ア...キ.......ラ........アキラ」


暗闇の中アキラの名前を呼ぶ誰か、その誰かは暗闇から姿を現し、アキラをじっと見ていた。


アキラ「お父さん!なんでこんなところに、どこ行ってたんだよ?皆待ってるよ!早く家に...あれ?みんなは?」


父親の陰から誰かが姿を現す、母親だ。


アキラ「お母さんも!なんでこんなところに、早く家に帰ろう」


母「アキラ」


アキラの問いには反応せず、ただ名前を呼ぶ、その足元には、不安そうにナツミとダイキがアキラをじっと見ていた。


ナツミ「アキラ兄ちゃん!」


ダイキ「アキラ兄ちゃん...」


アキラ「どうしたんだよ皆?お母さん、今日の晩御飯は何?お肉が食べたいな」


母「アキラ」


アキラ「お父さん、今日は仕事が早く終わったんだね、久しぶりにキャッチボールでもしようよ」


父「アキラ」


アキラ「ナツミ、ダイキ、今日はたっぷり遊んでやるぞ、何して遊ぶ?外行くか?テレビゲームするか?」


ナツミ ダイキ「アキラ兄ちゃん」


アキラ「なんなんだよ...みんなどうしたんだよ?いつもみたいに笑ってくれよ?」


不気味にアキラをじっと見つめ続ける、アキラが何を言おうが何も反応を示さない。


「「「アキラ」」」


アキラ「それ以外になんか言えよ!!!」


涙を流しながら膝から崩れるアキラ。


アキラ「わかってた、全部覚えてる、みんなはもう死んでるんだ、お母さんもお父さんもナツミもダイキも...夢ぐらいもっとマシな夢見さしてくれよな」


母 父 「「アキラ」」


アキラ「なんだよ、それ以外なんも言わねぇんだろ」


ナツミとダイキがアキラに近づく、目の前まで立ち、声を掛ける


ナツミ ダイキ 「頑張って!」


そう言いながらアキラを抱きしめる。


アキラ「は?」


混乱しているアキラの前に、今度は父が立つ、アキラに手を差し伸べる。


父「アキラ、立て」


アキラ「なんだよ、急に」


手を取り、立つ、涙と鼻水でぐちゃぐちゃのアキラを母はハンカチで優しく拭く。


母「ちょっと~ぐちゃぐちゃじゃない、ほら、自分で拭きなさい」


アキラ「うん」


ただの夢だというのに、自分の記憶力は意外に良かったようで、確かに渡されたハンカチは母親が持っていたものだった、アキラの身だしなみを整えながら質問する。


母「ほらもう!服もだらしないじゃない!ちゃんとご飯食べてる?」


アキラ「うん...いや、そこまで」


母「これからは一人で生きるのよ?もう大丈夫?」


アキラ「うん...もう、大丈夫...!」


アキラは目の前の母親を強く抱きしめる。


アキラ「お母さん...もう会えないんだね」


母「...そうよ、これからは一人で生きるのよ、強く生きなさい」


母親はアキラを優しく抱擁する。


アキラ「お母さん...ありがとう...!」


母から手を離す、順番で待っていたように父親が寄り添う、腰に両手を置き声を張って言う。


父「アキラ、でかくなったな!」


アキラ「おう!そのうち2メートルぐらい行くから楽しみにしてろよ!」


曲げた腕を立てて、意気揚々と言うアキラ。


父「そりゃ楽しみだ」


笑うお父さんの顔は急に真面目な顔になる、真剣な話の時は毎回こんな顔だったな。


父「アキラ、負けるな」


アキラ「俺は負けねぇよ!絶対に敵、殺る」


父親の目を見て、誓いを立てる、だが、その目は微かに、殺意と憎悪を抱いていた。


父「違う、アキラ、家族は敵など望んでいない、自分がしたい事をしろ。そして負けるな」


アキラ「?よくわかんねぇけど、わかったよ、お父さんが言うだからな、でも、敵は取る」


父親はアキラの肩に手を置き、優しくアキラの目を見る。


父「復讐に飲まれるなよ、アキラ。お前は俺の誇りだ」


アキラ「...はい...お父さん...!」


ナツミ「アキラ兄ちゃん!」


左足にナツミがしがみ付く。しがみ付いたナツミを引き剥がし、目線に合うように片膝でしゃがみ込む。


アキラ「どうしたナツミ?またダイキと喧嘩したのか?」


ナツミ「頑張って!」


アキラ「?何を頑張るんだ?」


ナツミ「とにかくアキラ兄ちゃん頑張って!」


アキラ「ははっ、わかった、頑張るよ、ありがとう」


ナツミの頭を優しく撫で、母の陰に隠れるダイキへと寄り添う。


アキラ「内気ダイキくんはここかな~?居た!」


ダイキ「アキラ兄ちゃん...これ...お守り」


ポケットから取り出したのは、ぽち袋の赤いお守り。


アキラ「これ、手作りか?凄いじゃん!ありがとうなぁ」


ダイキ「アキラ兄ちゃん...頑張って!」


アキラ「おう!兄ちゃん頑張る!」


貰ったお守りを胸ポケットに入れ、立ち上がる、いつからあるか無意識で認識していた、家族と反対側にある光へ数歩、歩きだす。


アキラ「あ...あれを言ってなかった...」


振り返り、家族たち皆と目を合わせ、高く、手を振る。


アキラ「みんな、行ってきます!」



「「行ってらっしゃい」」



光へ走る、光がどんどん眩しくなって、思わず眼を瞑る、次に目を覚ますとそこは、車の中だった。


アキラ「俺...夢を見てました」


邪言「うおっ!起きてたのか...どんな夢?」


寝ぼけたアキラに驚きながら質問する邪言、ゆっくりと返答するアキラ。


アキラ「家族と...お別れを...してきました」


邪言「ふーん、そっか、それは良かったな」


少しニヤリと笑った邪言が指を指す、その先には、近未来的な巨大建造物だった。


アキラ「おー!すげー!思ってたのと違う」


邪言「あれで我慢しなさい」


それから十分ほどで基地に到着、車から降り呑気にあくびと背伸びをしていると、邪言さんがスイッチのようなものを取り出して言う。


邪言「君にはこれから”試験”を受けてもらう、試験内容をクリアしてくれれば魔王軍所属だ。なに、簡単だよ」


言い終わると同時に、スイッチを押す、すると地面が揺れ、建造物のすぐ近くの地下通路のようなものから、高さ5メートルはあるライオンのような獣が出てきた、アキラを睨み、明らかに敵意を持ってこちらに歩み寄る、口を開け、目を丸くして唖然とするアキラに軽い口調で言い放つ邪言。


邪言「試験の内容は、あいつを倒せ、それだけだ、簡単だろう?」


アキラ「ッスー...どこが...?」

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