表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第一話 悪夢の始まり

この世界では、神から命を授かると同時に、一つ、言葉を授かる。言葉を授かった人間はその言葉の”能力”を使えるようになる、例えば授かった言葉が火、だったとしよう、すると言葉をもらったものは、火を出せるようになる、これはその神が司会者の、ある男の地獄のような物語。




クラスの扉を開け、いつもどうりに挨拶する。


アキラ「グッモーニング!!エブリデイ!!」


ナイト「ハハハッそれじゃ、おはよう!毎日!になるぞ、アキラ!」


アキラ「分かってて言ってますー!わかんなくて言ってる訳じゃないですー!」


いつもどうりに友達の笑いをかっさらい、窓際の席に着く、いつもどうりに綺麗な青空が見える、いつもどうりに授業が進む、いつもどうりに授業が終わり、いつもどうりに部活もして、いつもどうりに家に帰る、そんな毎日、それがいいんだ、身近にある小さな幸せを見つける、それが本当の幸せ。別にそれ以上の、名声とか富とか、そういうのは求めない、好きなこと出来ればそれで良い。

ただまぁ、手に入れられるのなら、少しは気になるよね、道を通るだけで皆からの視線を浴びる、何かをすれば褒められたり、そういうのを求めてしまう、それはやっぱり傲慢だろう、でも、そういうのが人間だからなぁ。


アキラがそんな気取ったような事を考えていると、長いローブをまとった人とぶつかる。


アキラ「ッ、すいません、大丈夫すかッ?」


???「あーごめんごめん私が悪いよ、ごめんね、君、名前は?」


男は右手を立てて謝罪する。


アキラ「えっと、アキラです」


???「あー違う違う、フルネームで!」


立てた手を左右に振り否定する、質問の意図が分からず困惑するアキラ。


アキラ「?白神っすけど」


???「白神アキラくん、かぁ、いい名前だね、もう絶対忘れないよ」


ちらっと見えた白い髪に赤い目、男は怪しいまでにニヤリと笑う。


アキラ「???はぁ」


邪言「私は邪言、今後はよろしくね」


???「邪言!あくしろ早く行くぞ!」


邪言「そういう事で、ばいばーい」


アキラ「???ばいばい…?」


オレンジ色の夕陽を見ながら顎に手を当てて考える。


アキラ「なんだったんだあの人たちは?邪言さん?と、大柄の怖い人、他に二人居たな、全員ローブしてたし、怖っ、あ、着いた。」


ガチャリと家のドアを開け、いつもどうり自分が帰還したのを伝える。


アキラ「ただいまー」


しかし静寂が続く。


アキラ「ん?…たーだーいーまー!」


家には自分の声が響くだけ、他の誰の声も、微かな物音も聞こえない。


アキラ「あれ?誰も居ないのか?」


そんなわけない、いつも家族はこの時間には全員居る、俺の帰りを待って。

なんか気持ち悪くて、いつものみんなの顔を見て安心したくて、急いで靴を脱いで、玄関に上がってリビングへのドアを開ける、そこは地獄絵図だった。

俺の家族は全員居たし、みんな俺のことを待ってた、だから死んだ、父は喉を斬られ、苦しそうな顔をして死んでた、母は腹に小さな穴が3つ空いてて、沢山吐血して死んでた、妹と弟は剣で生首を壁に突き刺されていた。

理解出来なかった、この光景がやけにリアルな夢としか思えなかった、馬鹿みたいに自分のほっぺをつねってみるが、痛い...痛い.......痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。


アキラ「おぇぇ、なんだよこれ……なんだよこれ!!!」


家には相変わらずアキラの声と嘔吐した不協和音だけが響く、だが、割れた窓からローブをまとった人がパリパリとガラスを割る音を立てて入って来る、邪言だ。


アキラ「何でここに?」


邪言「間に合わなかったか、さっきローブをまとった人が出ていくのが見えて、来てみたらこの有様か、君は大丈夫かい?、アキラくん」


アキラ「だいじょふじゃない、なんだよこれ、今まで...生まれてからずっとここで過ごして来た、なのに…急に…壊された!!大丈夫な訳ねぇだろ!!!」


アキラは涙ぐんだ目で邪言を睨み、胸ぐらを掴む。


邪言「落ち着いてアキラくん、冷静になるんだ」


アキラ「落ち着けねぇよ………こんなことしたやつは絶対ぶっ殺してやる…!」


邪言「...あんまり教えたくないけど、心当たりがないわけじゃない」


アキラ「誰だそいつは!!」


邪言「だから落ち着いてってば、君も知ってる天下の”悪滅平和作協会”ってやつだよ」


アキラ「は?」


(そんなことありえない、だって俺の父は平和協会の職員、なのに平和協会に殺される?在り得ない。)


アキラ「んなわけねぇだろ!俺のお父さんだって平和協会の職員だぞ!」


邪言「幹部ではないでしょ?知ってるわけがない、ちょっと長めの説明をさせてもらうね。悪滅平和作協会は、神の祝福を受けた人間が、その力で悪事を働くのを阻止する、それがモットーの協会、ここまでオッケー?」


アキラ「んな義務教育知ってるわ、バカにしてんのかよ」


邪言「悪滅平和作協会。平和協会と敵対してる組織、魔王軍、この組織は一般的には悪の権化のような伝え方されてるよね、でもそれは全部真っ赤なウソ、みんな騙されてるんだ、この惨事も、平和協会の仕業」


アキラ「は?何言ってんだ?平和協会がそんなことす」


アキラが強い口調で否定しようとすると、邪言は口元に人差し指を指す、


邪言「しー、まだ話してる、私は魔王軍の幹部、邪四の一人、平和協会からは”言うことすべてが嘘”とかだったかな?」


アキラ「魔王軍!?邪四の一人って、極悪人じゃねぇか!やっぱり嘘ついてんだなてめぇ!」


邪言「だからそれが騙されてるんだって、わざわざ自分で嘘ついてる噂在りますよって言う訳ないでしょ?本題入るよ?平和協会はね?魔王軍が気に入らないんだ、元々平和協会がしている活動は魔王軍を丸パクリしているんだ、だから本当は魔王軍平和協会と同じ立ち位置にいるはずなんだ、魔王軍はそれを

世間に訴えかけているけど、すべてもみ消されてる、それが現状」


目を真ん丸にして唖然とするアキラ


アキラ「.........」


邪言が人差し指を立てて提案する。


邪言「それで提案があるんだ、アキラ君、君も魔王軍に入らないかい?」


アキラ「は?」


少し強い口調で邪言は言う。


邪言「復讐するんだろう?ならうちに来い、この番号に電話しろ」


ローブの中から紙を一枚取り出し、テーブルにそっと置く、


邪言「来るのにどれだけかかっても構わない、来てくれるのを楽しみ待っているよ」


アキラ「え、いや」


アキラが止めようも、無視して窓から外へ出ていく、そして上へ飛んだ、後を追うが、姿はもう見えなくなっていて、どこかへ消えてしまった。家へ戻り、テーブル上にある邪言が置いて行った紙を取り、部屋を見渡す。


アキラ「なんだよこれ」






一か月後






アキラ「もう一か月だぜ、いまだに信じらんないよ、」


しゃがみこんだ状態で家族の墓石に手を合わせ、語り掛ける。


アキラ「あれからはもうそれはそれは大変だったんだからな!?お母さん居ねぇから飯は作れねぇし、お父さん居ねぇから金もねぇし、やっぱりお前らいないと寂しいよ、ナツミ、ダイキ」


家族のことを考えていると眼から涙が溢れる、


アキラ「寂しいよ...皆」


涙を拭き、立ち上がる。


アキラ「敵。取ってくる」


歩き出し、ポケットからスマホを取り出す、渡された紙に書いてある電話番号へと電話を掛ける、1コール、2コール。待っていると、誰かが電話に出る。




邪言「待ってたよ。アキラ君♪」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ