はじまりと憂鬱
準備していたのに。
心の準備はしていたのに。
衝撃が絶望になる前の、グレーの雲が心の内側に湧いてくる。それはとめどなく湧いてくる。
その日から、現実は半分夢の中に変わった。
光の矢。熱気と湿気。早起きのタスク。
もう今は、どれもこなせていない。
重い朝が来て、当然のように動けない。
すいっと、ブログ更新のお知らせが来る。
今年も彼らはとても元気そうだ。
_夏の記憶が、微かに蘇る。
それは常に、光色の中にある。
しかしながら、当の自分の心情は光どころではない。
何故、歩けていたのだろうか。
今よりも闇の中にいたのに。
何故、身体の筋肉は動いていたのだろうか。
そんな気力は間違いなく、今より無いはずなのに。
何故。
頭から爪先まであの人で一杯だったのに、
自分のことを考える分までの酸素を、
吸おうとすることが出来たのだろうか。
思い出したくない、のベールのせいか、
本当に海馬が錆びれて覚えていないのか、
記憶の中の、夏の「エモい」風景に自分が入ってしまったとたん、ぼやっと滲んでゆく。
今年こそ、きちんと訪れよう。
たとえそれが無意味でも。
起きられないかもしれないけれど。