悲しいアニメを見るときの心理的効果〜バナナフィッシュ①
先日、Xでバナナフィッシュがトレンド入りしていました。
約30年ほど前の作品ですが、アニメがリメイクされたこともあり、定期的に新しく履修する方がいるようです。
「助けて」「立ち直れない」という新規参入の方に対し、往年のファン達が「わかる...」「この痛みは一生引きずります」と慰める構図でした。これはこれからもずっと繰り返されていくことでしょう。でも本当に素晴らしい作品なので、もしまだ観たことがない方がいたら是非一度視聴してみてほしいです。
さて、では悲しいアニメを観ることは心理的にどのような効果があるでしょうか? 打ちのめされ、現実生活にも支障をきたし、ずっとそのキャラのことを考えて日中も涙が浮かんできてしまう。
実はそれはカタルシス、つまり心の中に溜まってしまった負の感情の解放の好例です。
語源はギリシア語の「katharsis」で古代劇場の悲劇を鑑賞した人々は感情の浄化を経験したことに由来します。
こうした作品鑑賞後の深い悲しみは悪い感情ではなく、ギリシャ人から見ればその悲しみこそが己に隠されたネガティブな感情を浄化させるメカニズムに当たるというものです。
つまりもともと昔のトラウマなどを抱え悲しんでいる自分が、それを言葉で表現できない時、作品の代理的な体験を通じ悲しみの表現の仕方を観察学習します。
簡単に言えば作品の物語とキャラクター達が内なる自分の悲しみに寄り添い、それが開放感に繋がります。なので一見トラウマになってしまうように感じますが、悲しいアニメを観ることは心に悪いことではないのです。
僕はアニメの鑑賞を通した心理セラピー、通称アニメ療法を提唱しています。バナナフィッシュは題材として適切であると言えるでしょう。