日本人が得意な擬人化とキャラ化を考える〜ウマ娘!プリティダービー
ウマ娘!プリティダービーの新しい映画が公開されましたね、おめでとうございます。思えば艦これ・刀剣乱舞など擬人化作品はコンテンツとしての寿命も非常に長く、深く愛される傾向にありますね。
擬人化は日本のアニメ作品における大きな特徴であり、擬人化こそがアニメの醍醐味であると言っても過言ではありません。アニメーションの語源はアニミズムに由来すると考えられており、アニミズム( ラテン語のanima つまり多魂)によれば、すべての自然物や物体に霊魂的存在が宿ると信じられています。つまり擬人化を通じて、一見霊魂が含まれないものにも霊魂が授けられ、人間らしい存在になります。
日本人は、無機質な物体に霊魂を宿して人間らしくするだけでなく、キャラ化にも長けています。
しかし、僕の著作「日本のコミュニケーションを観る」で述べたように、人間のキャラ化はコミュニケーションに弊害をもたらす可能性があります。僕は「いじられキャラ」私は「委員長キャラ」のように人間の複雑性を単調な一面に凝縮すると、一つの特徴だけが強調され、他の部分が希薄になってしまうのです。
一方で、アニメ作品やエンタメ企業で使われているキャラ化はどうでしょうか。例えば、先ほど触れたように、人間でない生き物を人間らしいものとして扱えるようになり、心に効くコンテンツを増やすことができます。また、擬人化を物語で活用すれば、想像力を刺激し、僕が命名した「興味一石二鳥効果」をもたらします。ウマ娘の成功により、競馬場の来場者数が跳ね上がったことがその証明です。
擬人化は、もともとそこまで興味を持っていなかった人々をも刺激し、新しい趣味や生活スタイルを獲得するきっかけを与えます。史実にフィクションを加えることで、架空の世界から現実世界に新しい可能性を引き出すことができるのです。
近年では、擬人化は教育の分野での活用が目覚ましいです。抽象的な概念や複雑なシステムを人間的な特徴を持つキャラクターで表現することで、具体的に理解し、記憶に定着させやすくなるからですね。その例は歴史上の人物や事件だけでなく、科学や数学の概念にまで及び、漫画アニメ作品の発想の自由さにいつも驚かされます。
具体的には人体内の細胞や細菌、ウイルスを擬人化した「はたらく細胞!」を生物の授業に採用する学校も増えているようですね。「ヘタリア Axis Powers」ではキャラクターの性格や関係性を通じて、世界史や国際関係を風刺的に描いているため、歴史の授業で補助教材として使われることがあります。(僕はイタリア人なのでやや複雑ですが・・・)
このように擬人化は、日本のアニメ文化の中核をなす要素であり、その影響力は計り知れません。単なる娯楽としてだけでなく、教育や心理療法などの分野でも活用できる可能性を秘めています。今後も、擬人化がもたらす新しい可能性と新しい作品に注目していきたいですね。