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005 ノーバック・ノーマルモード

 タイフーン号がナッシュと合流してから二日が経った。

 増築したタイフーン号は五機分のハンガーが用意され、追加されたひとつにはメイサ機となるフォーコンタイプ……ではなく、ナッシュの愛機であるノーバックが現在吊るされていた。ちなみにメイサ機(予定)はガレージの端で横になったままであった。


「装甲をフォーコンタイプの標準型に戻したんだね」

「試合で使ってたのは君との戦いでずいぶん欠けたから修理中。まあそれにアレ高いんだよ。だから使うのは試合の時だけさ」


 そして吊るされたノーバックを今はルッタが整備しており、それを見学していたナッシュとそんな言葉を交わしていた。

 その会話の通り、現在のノーバックは全身の装甲がフォーコンタイプ用の標準装甲に戻されている。ランクの高い魔獣の甲殻は元の装甲よりも頑丈ではあるのだが、供給は不安定で、加工も手間がかかるためコストパフォーマンスは当然悪い。なので魅せるための闘技場での利用以外ではナッシュも通常の装甲を使用していたのである。

 なお、武装に関しては円形盾と魔導戦斧にスラスターはそのままだが、バックパックウェポンとしてショルダーマシンガンという兵装が二門付いている。これは左右それぞれに魔鋼弾が四十発ずつ装填されたマシンガンで、秒速二十発で連射する。つまるところ一門二秒で撃ち切るため、かなり扱いの難しい兵器であった。


(これ使うなら総弾数を十倍は欲しいところだよなぁ。結局は魔鋼弾だから火力は魔導銃と同じわけだし)


 ルッタはそう考えるが、ランクD以下の飛獣の群れ相手ならばまとめて仕留めることが可能なため、普段ナッシュがハンターとして活動する場合にはそれなりに重宝しているものだった。


「それにしても話には聞いていたが君は本当に凄いな。整備も自分でこなすんだね」

「んー、やってる時間を考えればこっちの方が本職って言えるかも? 実際に風の機師団に乗る前はこれで食べてたし」

「そうか。その年で整備の仕事をしていたから操縦技術も学べたってわけだ」

「まあ、そういう感じかな」


 ルッタの返答にナッシュは納得したという顔をする。

 もちろんそれだけがルッタの強さの理由ではないが、修理屋の経験もルッタの糧となっているのは確かであった。

 

「ねえナッシュさん。ところでさ。ノートリア遺跡ってどういうところなの?」

「艦長からまだ聞いていないのかい?」

「ブリーフィングまだなんで。深海層に遺跡があって、そのための装備を今付けてるってのは知ってるけど。遺跡内部について詳しいことはまだ聞いてないんだよね」


 深海層。つまりは竜雲海の底。そこは当然ながら海の底ではなく、このアーマン大陸の本来の地上のことを指している。深海層は魔力濃度が高く、耐性のない生物は死に絶えて独自の生態系を確立しているとルッタは聞いていた。また地上に住んでいる人間もいるにはいるが、地上人は魔力濃度の薄い地域を求めて彷徨って生きており、潜雲病の発症率も天領に生きる人間よりかなり高いとのこと。実に生き辛そうな世界だというのがルッタの率直な感想だった。


「そうだな。そこには円錐台の巨大な塔があって、その周囲に工場みたいな建物が並んでいて、ガーディアンが巡回して遺跡を守ってるんだ」

「ガーディアン?」


 知らぬ言葉にルッタが首を傾げる。


「ガーディアンってのは遺跡を守る自律機動型の防衛装置の総称だ。数が多く、種類もあって、まあ厄介な連中だよ。できれば気付かれずに潜入して進みたい。それで遺跡の内部については……ん?」


 ナッシュが話している途中で艦内に警報が鳴り響き始めた。


「警報? 飛獣でも出たのか?」


 ナッシュがそう口にするが、ルッタは眉をひそめながら首を横に振る。

 タイフーン号内の警報音は複数存在している。ナッシュの言う通りに飛獣による襲撃の知らせの音や嵐の知らせの音などもあるが、今回の場合は……


「これは空賊の襲撃を知らせる音だよナッシュさん」


 険しい表情でルッタがそう口にした。

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― 新着の感想 ―
[一言] そういや遺跡が生きているとか言ってましたねえ 警備ロボット的なもんですかね? アーマーダイバーに使えるパーツでも拾えりゃいいんですが
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