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ますぷろ 〜ファンタジー世界で量産機しか乗れない俺だけど、プレイヤースキルで専用機やエース機や決戦兵器やドラゴン諸々全部ブッ飛ばす!〜  作者: 紫炎
第一部 竜牙鳴動の章

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016 寝起きクライシス

「うーん、むにゃむにゃ。って、いた!?」


 スパコーンという音と共にルッタの意識が覚醒した。

 目を開ければ見知らぬ天井だ。そのことにはて……と首を傾げたルッカだが、そばで眉をひそめたアマナイがいることに気付き、自分がアキハバラオー最強レアロボ武器商店ジアード支部のガレージにいることを思い出した。


「アマナイさんか。んー、おはようございます?」

「おはよう? あのーごめん。あんな下手な寝言言うから嘘寝だと思ってた」


 なぜか謝るアマナイにルッタの頭の中は???になった。


「なんの話です? それよりもこの鐘の音って、もしかしてなんか起きてますか?」


 そして意識が覚醒していくにつれ、ルッタはカンカンカンカンと警鐘が外から鳴り響いているのに気付いた。またシルフのアンもそばでグルグルと回っていた。慌てている感じを表現したいようであった。


「実は私もこの音が聞こえたのがついさっきでさ。ここが防音設計だったのが仇になったみたいだ。多分、建物のどこかが崩れて隙間が空いて聴こえるようになったっぽいんだよね」


 アマナイが苦い顔をして頭をかきながらそんなことを口にした。


「えーと。つまり建物が崩れるような何かが起きていると。もしかして崩落でもしてます?」

「いや、これは飛獣の襲来を告げるヤツだね。多分イータークラウドが島に来ちゃったんじゃないかな」

「飛獣が来てる……ああ、そりゃ嫌だな」


 ルッタが苦い顔をする。イータークラウドが島に到達したということは、現在外は緑の霧に覆われていて、建物に被害が出ているのだから飛獣が暴れている可能性もあるということだ。


「このガレージはシェルターの役割も兼ねてるしこの中なら安全だと思うけど。あれ、電話が鳴ってる?」


 話している途中で壁に設置してある電話からジリリリリと着信音が鳴り響き始め、アマナイがすぐさま受話器をとった。


「はいはい。こちらアキハバラオー最強レアロボ武器商店ジアード支部。どのような御用で……と、おやジンナイくんじゃないか」


(コーシローさんから? む、爆発音がした。これはアーマーダイバーでの戦闘も外で行われてるっぽいな)


「え? イータークラウドが? それは本当かい。それじゃあ残っていてもジリ貧じゃないか。けど外に出ようにもアーマーダイバーがないんだよ」


(外に出る? イータークラウドってんなら普通は通り過ぎるのを待つだけだよね?)


 イータークラウドという現象はあくまでも一過性のもの。島を覆っている時間はそれほど長くはないはずで、このままガレージなりシェルターなりに篭っていればそう遠くないうちに飛獣も島を去り、それほど時間もかからずに外へと出れるはずなのだ。けれどもコーシローと話しているアマナイの表情は険しい。


「んん、ロボクス? いや、確かにあるけど……うーん、分かった。武装はあれがあるし、本人に確認は取ってみるよ。ダメならまたかけ直す。うん、また後で」


 そう言ってアマナイが電話を切った。


「コーシローさんから?」

「そうだよ。今、ハンターギルドにいるんだって」

「タイフーン号にいるんじゃなく?」


 ルッタが首を傾げる。コーシローは昨日タイフーン号に戻っていったし、昨日から今日にかけてはブルーバレットの改造と整備を行う予定のはずであった。外に飛獣がいるようなら、なおさらハンターギルドの施設などには行かず船の中にいるはずだろう。


「タイフーン号はすでに港を出港しているらしいんだよね」

「え、なんで?」


 その言葉にルッタが驚く。まさか置いていかれたのかと思ったが、続けてのアマナイの言葉でそれは杞憂であったことを知る。


「どうやら外で発生しているイータークライドは特殊なもので、このまま晴れることはないんだって。それで今、大量の飛獣がこの天領に襲撃してきていてかなりヤバいらしいんだ」

「ええー、そんなことがあるの?」

「私も知らないがジンナイくんはあると言ってる。それでタイフーン号は迎撃しながら引きつけることで港町から飛獣を引き離してるらしい。ジンナイくんは君に機体を届けるために船を降りて、今ハンターギルドにいるんだって」

「なるほど。そういうこと」


 島内の通信機器は基本有線のため、コーシローはハンターギルドを利用して電話をかけてきたようである。


「けどさ。機体を持ってきたんなら、そのままここまで来てくれればいいのに」

「それは無理かなぁ。コーシローさんは一応乗れる人だけど戦闘訓練は受けてないし、俺用に調整した機体でここまで来るのは難しいよ。だからこそ港に近いハンターギルドに降ろしたんだろうね」


 ルッタのブルーバレットはピーキーな調整に加え、テンキーもどきデバイスの追加によってルッタ当人以外が操作することが非常に困難になっている。それは専属整備士のコーシローであっても同様で、そのため、港町の離れにあるここまで飛獣を退けながら持ってくるというのはかなり難しい行為だと言わざるを得ない。最悪、道中で撃墜される可能性もあるのだからコーシローの判断は正解だとルッタは思った。


「なら、しゃーないかね。それで問題はハンターギルドまでの移動手段なんだけど」


 そう言ってアマナイが視線を向けた先にあったのはガレージ内の奥に置かれているロボクスだ。


「なるほど」


 本来であればロボクスは竜雲海経由で汲み上げた魔力をケーブルで供給する仕様のため、この場から離れることはできない。けれどもルッタはケーブルを離しても操作が可能となる方法を知っている。


「つまりはあの時と同じことをやればいいわけだ」


 そしてルッタは視線をロボクスからタレットドローンのアンに向けてそう口にしたのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] イータークラウドで竜雲海自体の嵩が上がってそのままロボクスを使える、って訳じゃないのか…。
[一言] イータークラウドが上陸しててもロボクスは魔力を直接取り込む機構が無いか。ざんねん
[一言] 機体は届かなかったかー じゃあこっちから行くしかないですわな
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