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002 得たモノ

 こうしてルッタたち三人は無事タイフーン号への帰還を果たした。

 任務も紆余曲折あったが『一応』達成。けれどもその結果だけの報告を聞いても彼らは喜んでばかりいられなかった。

 この場はタイフーンにより竜雲海の流れが早く、飛獣たちも活性化しており、場合によっては流れてきた浮遊石と激突する危険性もある。

 そのため交わした言葉もほどほどにタイフーン号はすぐさまこの海域から離脱するために動き出した。

 そしてまだ体力に余裕のあるリリは艦の護衛に付き、ナッシュはここにたどり着くまでに色々と限界を迎えており、船に到着してすぐに倒れて今はベッドに横になっている。

 対してルッタも疲れてはいたし、一度休むようにと勧められたのだが、ひとまずは艦長に報告するため……と言ってギアと共に今は艦長室にいた。

 なお、リリとルッタが働いているのにひとりぶっ倒れたナッシュは後ほどシーリスに死ぬほど煽られたという。


———————————


「というわけで収穫はガトリングガンとバケツマガジン、それに高出力型と思われる船導核三個。船導核の一個はナッシュさんの取り分で、一個は風の機師団のモノ。で、残り一個は売って半々。ガトリングガンの分はビッグジョーのアルカンシェルフェザーを渡すことで相殺って感じでナッシュさんとは話をしているよ」


 遺跡内での話をひと通り終えたルッタは、まずは問題のない成果のことから切り出した。

 今回の依頼の報酬だが、報酬金の前金は既にナッシュから受け取っている。残り分の支払いは後ほどもらう予定であり、遺跡内での拾得物に関しては半々ということであらかじめ話はついていた。

 またビッグジョーの素材については遺跡外での狩りで手に入れたものなのでその案件からは適用外なのだが、遺跡で手に入れたガトリングガンはルッタが今後使用するつもりなので、はみ出た分の代わりにルッタはアルカンシェルフェザーを提供すると話を持ちかけてナッシュも了承した。

 なおナッシュにしてみればガトリングガンはルッタとリリあっての価値であり、二束三文で構わないと返していたのだが、それでは据わりが悪いとルッタが押し切った形でそうなっていた。そしてその報告を聞いたギアは「まあ妥当だな」と返して頷いた。


「後でナッシュとは話を詰めておくがそのまま通す形になるだろう。ガトリングガンはブルーバレットにつけるんで良いんだな。詰め込みすぎた形にならないか?」

「重量はそこそこあるけど、基本魔力のコストはかからないんで問題はないよ。邪魔ならパージすりゃいいし」


 それこそがルッタがガトリングガンを欲する最大の利点であった。

 魔導兵装を装備する際にかかる機能維持のための魔力と弾薬を再召喚するための魔力、量産機で武器を運用する際にはこの点が非常に重要となる。けれどもガトリングガンは違う。


「なるほどな。維持魔力はバケツマガジン持ち。召喚弾は千発をあらかじめ構築してるからそれを使い切るだけ。召喚のパスはバケツマガジンとガトリングガンで完結していて機体への負荷もないと。面白い武装だな」


 元乗り手のギアもガトリングガンの性能にはニヤリと笑う。


「問題は上のクラスの連中に当てるのは難しいってことと機動力が若干落ちるってことかな。維持魔力をフライフェザーの出力に回せるからある程度カバーできるけど、全力で()るならパージすることになると思う」

「ふーむ。なるほどな。なら、回収しやすいように簡易バルーンも付けておくか」


 それは武装をパージした際に竜雲海に浮かぶようになる魔導具であった。


「うっす。もう少し手土産は欲しかったんだけどね」

「船導核みっつなら十分過ぎる成果だ。しかも軍用に回されて市場じゃほとんど出ない高出力型。で、ナッシュからの依頼も達成し三人とも無事帰還と。万々歳だな。まあ」


 そう言ってからギアが渇いた笑いを浮かべる。

 すでに遺跡内で何が起きたのかをギアは聞いている。そして遺跡そのものと、それ以上にリリにまつわる問題の重要性も理解していた。


「オマケで付いてきた問題が重すぎるかもしれんがなぁ」

 ナッシュは遺跡内の戦闘疲れに加え、タイフーンの中でアーマーダイバーを操作することに集中し過ぎたことで頭と体力が限界を迎えていますね。その後シーリスには「うちの若い子は帰ってきても働いているのに筋肉ダルマがひとりダウンとか。その筋肉はマシュマロなの? 見せ筋なの? 序列一位は試合以外は働かないの?」とボロクソに言われました。基本ゲストなので起きててもすることなかったのにね。かわいそう。


 なおルッタとリリですがビッグジョー以降は戦闘もなかったので道中を休憩タイムと捉えて体力回復してます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 表向きは依頼大成功 しかし裏がなー 間違いなく今後の風の機師団の行動に関わってきますからねえ
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