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018 VSガーディアン

「ガトリング羨ましいな。俺も使いたいなっと」


 二機が施設内に入ると瞬く間に雨霰のように銃弾が降り注いできた。それは待ち構えていたガーディアンたちによる攻撃であった。対してルッタはブルーバレットを器用に動かして回避しながら、ガーディアンを一体一体と魔導散弾銃で確実に仕留めていく。


『さすが……だね。おっと、また出た。ルッタくん、まとめて仕留めるから避けてくれ』


 軽快に動き回るブルーバレットの後方では被弾こそしているものの厚い装甲で攻撃をしのぎきったナッシュのノーバックがショルダーマシンガンを起動して、角から飛び出してくるガーディアンたちを一気に仕留めていく。そしてその攻撃で陣形が崩れたところをブルーバレットが飛び込んでまとめて破壊していった。

 まさに破竹の勢いで彼らは施設内を進んでいく。


「リリ姉が引きつけてくれてる間は外からの増援は少ないはず。とっとと動力装置を破壊しようナッシュさん。道はこっちで合ってるんだよね?」

「あくまで予測ポイントだけどねルッタくん。おっと近接型だ」

『了ッ解』


 キャプチャーと呼ばれる四本足で上半身が人型のガーディアンは武装を変えることで状況に合わせた戦いが可能であり、新たに出現したキャプチャーは盾を持ちながら騎槍(ランス)で突進を仕掛けて来たのだが……


「ジャッキー流剣術『独楽斬り』」


 ルッタがブルーバレットの機体を横に倒しながら回転させると、右の魔導剣で盾を真下から打ち上げ、左の魔導剣で盾の護りの消えた本体を斬り裂くという技を放った。

 ジャッキー流剣術『独楽斬り』。それはフライフェザーの推力で機体そのものを回転させ、上半身をブラさず、寸分違わず二刀の斬撃を同じ箇所に叩き込む技であった。


『おお、僕の試合でもジャッキー流剣術って使ってたよね。なんなんだい、それは?』

「今のはジャッキー師匠の剣術を組み込んだジャッキー流剣術だよ」

『……ジャッキー師匠』


 ルッタの師匠と聞いてナッシュが目を見開く。これほどの力を持つ子供を育てた師とは如何なる人物なのか。ジャッキー師匠の名声ポイントがまた少し上昇した。


「ナッシュさん、戦闘に集中」

『おっと、すまない。クッ』


 回避が間に合わなかったナッシュがガトリングガンの集中攻撃を両腕の円形盾を前に出すことで防ぎながら通路の角に隠れる。そしてナッシュにヘイトが集まっている間にブルーバレットが急接近をして魔導剣と魔導散弾銃でガーディアンたちを仕留めていく。


『お見事!』

「どうも。ナッシュさん、ダメージは?」

『装甲を削られただけだ。戦闘に支障はないよ』

「それは助かるね」


 ルッタがそう返しながら、周囲を見渡す。

 近隣の敵は一掃。この場にいるのはもはやブルーバレットとノーバックだけであった。


「今索敵モードを使ったんだけど正面の先、外部と繋がっているっぽい大きなエネルギー反応がある。多分そこが動力装置のある部屋だね。ゲートを閉めて引きこもっていて、中にはガーディアンがそこそこいるっぽい」

『それは入ると一斉砲火を浴びそうだなぁ。どうしようか』


 ナッシュが眉をひそめる。動力室を護るために待機しているのであれば誘い出しも難しいだろう。


「んー、ナッシュさんは目の前のゲートを破壊して、それから一旦下がってもらえる?」

『分かった。君は?』

「俺はナッシュさんがゲートを破壊したのに合わせて突入するよ」


 ナッシュは無茶だ……と言おうとしたが、それは呑み込んだ。戦闘においてどちらが上で、どちらが下かなんて格付けはとっくについている。であればこの場は従うのが筋だとナッシュも理解できていた。


『了解した。全力で叩き込むからタイミングは合わせてくれよ!』

「了解。いつでもいいよ!」

『ふぅう、そんじゃぶっ壊しますか。そぉおりゃぁあああ』


 ノーバックが大きく振りかぶり、最大出力での魔導戦斧の一撃を施設のゲートに叩き込むと、けたたましい金属音と共にゲートだったものが破壊されて弾け飛んでいった。それから即座にノーバックはスラスターを前面に噴射して後方へと跳び下がる。


「さーて、引っかかってくれるかなぁ?」

 

 対してノーバックと入れ替わるようにブルーバレットが動き出し、破壊された扉へと向かっていく。そしてブルーバレットが動力室に入るのと同時にガーディアンたちが一斉に銃口を向けるが、弾丸が即座に射出されることはなかった。


「おー、上手くいった」


 ルッタが笑う。ガーディアンたちの銃口の先、ブルーバレットの前には未だ停止していないキャプチャーの姿があった。ブルーバレットはそれを掴んで盾にしていたのだ。


「ここに来るまでにも射線を横切る機体は撃てていなかったからね。上手くいって何よりだよ」


 一瞬の動作停止。それはガーディアン同士のフレンドリーファイア防止のための安全装置が働いたのだろう。そして、それこそがルッタの狙いであった。そのまま撃たれた場合にはキャプチャーを盾に被弾覚悟で突っ込もうと考えていたのだが、幸いそうはならなかった。


「って、もう撃ってくるのかよ!?」


 とはいえ直後にガーディアンが味方ごと撃ち始めたのはさすがというべきか。人質作戦など一瞬の隙を作る程度にしか役に立たなかったが、ルッタにはそれだけで十分だ。


(一番遠いのはあの二機。あそこから潰すか)


 索敵モードのまま中に入ったルッタは室内の状況を既にスキャンし終えている。そして一番距離のあるキャプチャー二機に対してショルダーカノンの魔鋼砲弾二式を連続で放って仕留めるとガーディアンの銃弾を室内に並ぶ柱を盾にして防ぎながら動き始めた。


「掃討するよ。ナッシュさん、援護を」

『了解だッ』


 そんなやり取りをしている間にもルッタは正面の二機を魔導散弾銃で仕留め、ガトリングガンの銃撃を避けながらガーディアンの集中している場所へと飛び込むと、ジャッキー流剣術『独楽斬り』でまとめて斬り裂いた。


『いやホント、凄いな君は』


 さらに室内に飛び込んだナッシュがルッタに集中していたガーディアンの背後に回り込んで撃ち倒し、さらにはスラスターを噴かして接近し、近くの機体から魔導戦斧で破壊していく。


「ナッシュさんこそやっぱり接近戦に持ち込むのが上手いね」

『ははは、君のフォローあってのものだけどね』


 ルッタが撃ち続け、牽制しているところにナッシュが接近して仕留める。パターンはある程度分かっているのにガーディアンたちは対応できない。わずかなフェイントにも反応し、即座に刈り取られていく。


(AIが単純? ま、弱い分にはこっちも文句を言う筋ではないんだけどさ)


 そうして次々と撃破を重ねたルッタたちは五分と経たずにすべてのガーディアンを駆逐し、外からの増援が到着する前にノーバックの鉄拳によって動力装置の破壊に成功するのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんとも呆気なく動力装置の破壊は成功しちゃいましたねえ うまく行き過ぎて不安になってくるなあ
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