後悔ばかりの繰り返しだったからね その7
次の日の昼ごろ、サキが戻ってきた。彼女が連れてきた人物を見て、僕は安堵の溜息をついて駆け寄った。
「バーニィ!」
バーニィは馬を降りると、僕の頭に手を置いて髪の毛をくしゃくしゃにした。馬をもう一頭連れている。
「無事でよかった」
「バーニィも」
「ファージの効果は――体は元に戻っているんだな」
「うん。今のところは」
僕は午前中にシルからTB化についての講義を受けていた。相変わらずちんぷんかんぷんだったけど、ファージという物質が遺伝子を改変させるらしいことは分かった。
「みんなは?」
「無事だ。あれからビルの屋敷を脱出してデッドウッドに戻った。もちろん、ドクも連れて」
バーニィが僕の肩に手を置いた。
「本当はエルム・クリークまで連れて帰りたかったんだが。デッドウッドの墓地に埋葬した」
「ありがとう、バーニィ」
僕を見るバーニィの顔が険しい。
「どうしたの。僕なら大丈夫だよ」
「いや、実は――」
バーニィはサキと顔を見合わせた。ふたりとも渋い顔をしている。
「お嬢ちゃんがファントムに攻撃を仕掛けるつもりだ。MAに乗ってひとりで出て行った」
「そんな。無茶だよ」
サキが口を開いた。
「私たちはヨミを説得に行く。君は私の家にいなさい」
「僕も行きます」
「だめよ。君を連れまわすのはまだリスクが大きい。バーニィと話し合った結果よ。それに体もまだ――」
「行きます。だめだといわれても、僕はひとりでも行くよ、バーニィ」
サキは溜息をついてバーニィを見た。
バーニィは苦笑を浮かべて僕にいった。
「わかった。一緒に行こう、レン」




