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お前たちなら必ず来ると信じていた その12
たぶん安全ベルトをしてなかったんだろう、レッドフィールドが機体から放り出されて、MAの足の下敷きになっていた。まだ息はあったけど、長くはもたないだろう。銃を使うまでもない。
操縦席のファントムはぐったりとして動かない。気を失ってるのか。黒いヘルメットの中が見えないから判断できない。
なんだか急に体が重くなってきた。僕はすぐそばの木の根元に座り込んだ。
弾はたぶんあと一発。でもこの先どうするべきなのか、頭が回らない。ファントムの黒い銃がとてつもなく重く感じる。腕が鉛のようだ。
ぼんやりとした視界の中で、コックピットのファントムが動いた。頭を何度か振っている。やがて安全ベルトをはずすと、MAをゆっくりと降りた。
僕はなんとか銃を構える。ファントムは僕に気付いた。銃は持ってないように見える。でも、撃たなきゃ。
くそっ、なんて硬い引き金なんだ。びくともしない。
もしかして、僕の体は元に戻ってしまったのか。
ファントムがこちらに向って足を踏み出した。
それが最後の光景だった。
銃を構えたまま、僕は意識を失った。




