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パンプキンとカカオ  作者: Han Lu
第七章 お前たちなら必ず来ると信じていた
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お前たちなら必ず来ると信じていた その11

 目を開くと、僕の肩を掴んで心配そうにこっちを見ているバーニィの顔があった。

「おい、大丈夫か」

 僕はうなずいた。大丈夫だ。そして全てを理解していた。

 なるほど、そういうことか。

 銃撃が止んだ。意識を失ったのはほんの数秒だったんだろう。

 黒い霧を透かして、もうほとんど窓枠しか残っていない壁の向こう側にMAが見えた。コックピットの下に細い管をいくつも束ねたような武器が装備されている。撃つ気配はない。風防が開く。

 気が付くと、体が動いていた。

 黒い霧を飛び出して床に落ちているファントムの銃を二丁両手に掴み、僕は跳躍した。

 以前TBがやったように、上空で反転して天井を蹴る。

 窓の上部にあるステンドグラスにぶつかる寸前、発砲。

 破片と共に外に飛び出した僕の真下にMAがいる。ちょうどレッドフィールドを収容して、風防を閉じたところだった。

 風防の上に落ちた。衝撃はほとんどない。足の下にレッドフィールドの怯えた顔。その顔に向けて引き金を引く。十三発。さすがに貫通はしない。でも、十三発目で亀裂が入った。

 レッドフィールドが前の席のファントムに必死に叫んでいる。MAがジャンプの体勢に入った。振り落とされないように左手で装甲の継ぎ目を掴む。

 MAがジャンプした。

 空になった銃を捨て、腰のベルトからもう一丁の銃を抜いて撃つ。たぶんこっちは十四発残っているはず。

 十発。亀裂が大きくなった。

 MAが着地して再度ジャンプする。周りの風景が変わった。森の中に降りて振り落とすつもりだろう。僕は風防の後部にうつ伏せになった。

 低いジャンプを繰り返し、MAは木々をなぎ倒しながら森の中を猛進した。振り落とされないようにしがみついているのがやっとだ。でもチャンスは来る。

 やがて森が切れた。再び風防の上に移動して撃つ。二発で風防全体にひびが入った。もう前は見えないだろう。それでもMAは大きくジャンプした。

 バシュッという音とともに、風防の周りのボルトが飛んだ。緊急脱出用のハンドルを引いたな。操縦を習っておいてよかった。

 僕は真上に飛んだ。直後、風防が後方に吹き飛ぶ。丸見えになった操縦席のコンソールパネルに向けて撃った。

 機体が揺れる。MAは大きくバランスを崩したまま着地すると、足をもつれさせて派手に転倒した。そのまま数回転がって、百メートルぐらい先でようやく停止した。

 MAが着地した場所に、ふわりと降り立つ。まるで体重が三分の一くらいになった感じだ。僕はゆっくりとMAのほうに近づいていった。

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