奴らのやり方が正しいとは思えねぇ その11
舞台の上はまるで強烈な嵐が過ぎ去ったかのようなありさまだった。壁はもとより、客席もTBとアヒムによって粉々に砕かれている。やがて、本当に砂嵐が吹き始めた。
バーニィが『アーム』の人たちに指示を出す。クリスは医者のところへ運ばれて行った。
「大丈夫か」
首元をこすりながらやってきたTBにバーニィが声をかける。TBはうなずきながらフランチェスカに右手の拳を差し出す。
「どういたしまして」
拳を突き合わせるふたりのそばにヨミも戻ってきた。TBが親指を上げると、ヨミはうなずいた。そして、ふと、キャットに視線を向けた。
「どうした、キャット」
「やばいっすよ」
突然、キャットがきょろきょろと周囲を見渡す。
遠くから何かが近づいてくる音が聞こえてきた。それも四方から。
「オートモービルだ」
ヨミがつぶやく。
いつの間にか僕たちは四つの車輪がついた乗り物に取り囲まれていた。これがオートモービルか。屋根のないその乗り物は全部で八台。初めて見るその乗り物にも驚いたけど、もっと驚いたのは乗っている人間だ。
オートモービルに乗っていたのは、全て少女だった。しかも全員が同じ顔、同じ姿。年は僕ぐらいで、金髪を三つ編にして背中に垂らし、身にまとっているのは女給の制服だ。そして、手に握られていたのは、その姿には似つかわしくないものだった。
彼女たちは座席から立ち上がって、一斉にそれを僕たちに向けた。黒くて強烈な威力を持つもの。それはファントムの銃だった。
突然のことに誰も反応できない。
「まさか、アンコールがあったとはな」
バーニィの頬が歪んだ。




