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パンプキンとカカオ  作者: Han Lu
第六章 奴らのやり方が正しいとは思えねぇ
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奴らのやり方が正しいとは思えねぇ その9

 でも、アヒムはTBの突きをかわした。上空に舞い上がり、客席の上に降り立つ。TBは体を反転させて舞台の上に着地した。

 僕は視線だけを動かして、通りに並ぶ建物の屋根を見上げた。キャットが音を立てず、屋根の上を移動している。彼がなぜザ・キャットといわれているかようやく分かった。やがて、舞台に一番近い建物にたどり着くと、ふわりと舞台の上の梁に飛び移った。ロープを切ろうとしている。

「女は私がやる」

 ヨミが風防を閉じてMAをジャンプさせる。

 TBとアヒムが空中で激突した。互いに拳を繰り出し、再び着地する。

「すげぇ」

 僕のうしろで誰かがつぶやいた。

 ヨミのMAが舞台の床をぶち抜いて派手な音とともに着地した。同時に、キャットがロープを切った。クリスが舞台に倒れこむ。でも、アデーレの注意はMAに向いている。

 クリスの状態が気になる。僕はMAを降りると舞台の袖に向って走り出した。

「おい、坊やはじっとしてろっていっただろう」

 バーニィが僕のうしろにぴたりとついている。キャットが梁からくるりと飛び降りて、クリスのそばに猫のように着地した。

 TBとアヒムは相変わらず激しい攻防を続けている。ふたりともどうやら格闘技の心得があるらしい。お互いに高速で拳と脚を繰り出している。まるでダンスのようだ。でも、僕らがあの突きや蹴りを食らったら、ただではすまない。

 ふたりの向こう、ヨミのMAはコックピットの下から二本の腕を伸ばして、アデーレに襲いかかった。あんな機能があったなんて。

「大丈夫なのか、嬢ちゃんの操縦は」

 バーニィのつぶやきに答えるまでもない。もちろん、大丈夫じゃなかった。アデーレはMAの腕を難なく避け、空を切ったMAの腕が舞台の背後の壁や床を破壊してく。

 キャットがクリスをひきずって舞台袖まで運んできた。僕たちも舞台の上に登る。

 肋骨が折れている。でも、他に目立った外傷はない。両手も無事だ。銃は撃てる。

「あら、だめよ。勝手に舞台に上がっちゃ」

 アデーレがMAの腕をかわしながらこちらを向く。バーニィとキャットが同時に銃を抜いた。

 アデーレは左手でさっと顔をかばった。その左腕の一点にバーニィとキャットの銃弾が集中する。ふたりともとんでもない命中精度だ。一瞬で弾を撃ちつくしたけど、さすがにアデーレの左腕は血を流している。

 その隙をついて、僕はクリスを舞台の下に降ろした。『アーム』の人たちが来てくれていた。クリスを抱えて運んでいく。

「TB!」

 バーニィの声に舞台のほうを振り返ると、アデーレの鞭がTBの喉に巻きついている。アデーレは笑みを浮かべて、ぎりぎりと鞭を締め上げている。TBが膝をつく。

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