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パンプキンとカカオ  作者: Han Lu
第五章 あの日以来一日も忘れたことはない
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あの日以来一日も忘れたことはない その2

 キュンという音とともに兆弾がかすめる。

 ドアに一番近いクリスが飛び出し、フランチェスカがキッチンのほうに走っていく。

 銃撃はすぐに止み、僕が恐る恐る顔を上げると、いつの間にか僕の周りに黒い霧が漂っている。ヨミが力を使ってくれたんだ。

「ありがとう」

 隣でしゃがんでいるヨミにいうと「べ、別に礼をいわれるほどのことでは……」と、そっぽを向いて立ち上がった。

 テーブルの下から這い出ると、TBが悠然と三つ目のりんごに齧りついたところだった。

 すでにキャットとバーニィも外に出ている。小屋の前では、クリスと男が十ヤードほど離れて対峙していた。

 その男の背後、数十ヤード向こうでは、もうひとりの襲撃者を乗せた馬が走り去っていく。

「バーニィ、あれ」

「大丈夫だ」

 直後、頭上で銃声が鳴り響いた。一秒後、すでに百ヤード以上離れていた馬上の男の体がゆらりと揺れて、地面に落下した。そのまま動かない。小屋の屋根を見上げると、ライフルを持ったフランチェスカが上体を起こした。

「で、昨日ここを襲ったのはお前さんたちか」

 バーニィの言葉に僕は再び小屋の前の男に目を向けた。

「違う。それは別の奴らだ」

「さすがはレッドフィールドだ。人は豊富だし、金もある。お前もたんまりもらったんだろう」

「あいにく一セントたりとも貰っちゃいない」

「レッドフィールドの差し金だというのは否定しないんだな」

 男は地面に唾を吐いた。

「俺だって『アーム』のはしくれだ。地球人テランの思い通りにはさせたくない。だが、コーディネーターに任せたほうがいい場合だってあるんだ。そこのお嬢ちゃんがこのまま暴走したら地球人テランは本気で押さえ込んでくるぞ」

 ヨミが何かいいかけるのをバーニィが手で制した。男が続ける。

「あんた、バーナード・アリソンだろ。あんたたちはもっと賢いと思っていたんだがな」

「賢いよ。レッドフィールドの犬にならない程度には」

 男の顔が歪んだ。

「能書きの多い奴だ。男なら銃で語れ」

 クリスが淡々と告げる。

「クリス・バートレット。あんたとは一度やってみたかったんだ」

「こっちは待ちくたびれているんだが」

 クリスの腕はホルスターに伸ばすことなく、だらんと垂らしたままだ。

「抜け」

 男が銃に手を伸ばした。

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