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パンプキンとカカオ  作者: Han Lu
第四章 本気でかからないとつぶされるわよ
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本気でかからないとつぶされるわよ その5

 バーニィたちだ。

「おやおや、お邪魔だったかな」

 バーニィがにやにやしながら馬を降りる。

「お、お前たちが遅すぎるから、待ちくたびれていたんだ」

 ヨミがしどろもどになっている。

「あ、ペミカンじゃないっすか。おかしら、ずるいですよ」

 キャットが馬を降りながら、ヨミの手元を覗き込んだ。

「まだあるよ」

「お、すまないな、レン」

 僕が放ったペミカンをキャットが受け取る。

「馬を休ませよう。このぶんだと日が暮れるまでに余裕で向こうに着くだろう。俺たちも腹ごしらえといくか」

 バーニィがTBをふり返ると、TBは何かをどさっと地面に放り投げた。

 立派な野うさぎが二羽。

「これ、TBが?」

 TBはにやっと笑って自分の二の腕をぱんぱんと叩いた。

「うう。また肉か……」

 ヨミがつぶやいた。

 でも、結局ヨミはTB特製の兎スープを二杯たいらげた。

 TBは鮮やかな手さばきで兎をバラすと、ハーブと根菜、塩コショウを鍋に入れて小一時間煮立てた。

 スープはシンプルなのにおいしかった。TBのさばき方とハーブのおかげで肉の臭みがほとんどしない。だからヨミにも食べやすかったんだろう。

「あーこれでジャガイモがあればなぁ」

 キャットがしみじみとつぶやいた。TBが顔を上げる。

「いや、別にケチつけてるわけじゃ……」

 TBはうん、うん、とうなずいている。

「え、あんたもそう思うかい?」

 再びTBが大きくうなずく。

「俺の生まれ故郷のジャガイモはすごいんだぜ。いや大げさじゃなくて、ただ茹でただけなのにびっくりするくらいうまいんだ。食べさせてやりてぇよ。あと、おススメの食べ方としては――」

「しまった。こいつのジャガイモ談義は長いんだ」

 ヨミのうんざりした声も耳に入らない様子で、キャットは熱心にTBに話しかけている。

「で、どうするお嬢ちゃん。いったん町に入るか、それとも直接鉱山に行くか」

 バーニィが食器を片付けながらたずねた。

「とりあえず、お前たちは町にいてくれ。まず私が行って事情を説明してくる」

「わかった」

 腰を上げようとしたバーニィをヨミが止めた。

「ちょっと待て」

「どうした」

「いや、その、なんだ。ココアを飲んでいかないか?」

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