エピローグ その5
「あなたたち、まず、お風呂に入りなさい」
家の中に入って開口一番ジェシカがいった。ここを出てから数えるほどしか体を洗っていない。僕たちはお風呂に入って、ジェシカのパイを食べながら、今日までのことを話し始めた。
彼らにすべてを説明することはできなかったけど、ふたりともなんとなく事情は分かっているみたいだった。たぶん父さんとラオスーがある程度話していたんだろう。
ラオスーの話をすると、ふたりともとても懐かしがった。
「チェイス・リー。あんなに面白い人はいなかったわね」
「ああ。変わり者だが、あんなに立派な男はなかなかいない」
ジェシカがふたつのペンダントを持ってきて、TBに手渡した。
「TB、改めてお礼をいうわ。レンを無事に連れて戻ってくれてありがとう」
TBは慌てて首を振った。
「どちらがあなたのものかわからなくなっちゃったの。でも、ひとつはレンが持っていなさい」
僕はTBから空薬莢のペンダントを受け取って、首に掛けた。TBはじっと手のひらの中のペンダントを見つめている。
「TB、どうしたの」
なんでもない、というようにTBは軽く首を振った。




