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パンプキンとカカオ  作者: Han Lu
第十二章 俺たちに残されたただひとつの道だ
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俺たちに残されたただひとつの道だ その3

 あの賑やかだったポートタウンは、今は見る影もなく、まだ日が暮れる前なのにひっそりと静まり返っていた。たまに人を見かけても、みんなどこかに急いで帰るみたいに通りを早足で歩いている。

 でも、アレンの店の周りだけは人が多かった。どうやら店の中だけでは入りきれないらしく、隣の空き家まで借りているみたいだった。

「レン! 体はもういいのかい」

 店の前まで来ると、すぐにアレンの奥さんのジェイダが気付いて側に来てくれた。

「うん。もうだいぶ慣れたよ。それより、港が閉鎖されたって」

「ああ。三日前に突然ね」

「それにしても、こんなにも人がいなくなるなんて」

「コーディネーターが警告を出したのさ。港から危険な病原体が見つかったってね。もちろん作り話だよ。でも郡当局は感染が広がらないように、できるだけこの町から移動するよう通達を出したんだ。コーディネーターはわざわざ死体まで用意していたからね、港湾局もあっさり信じてしまったんだよ」

 なるほど、それが港の封鎖の理由か。

 店内をのぞくと、商品は隅に追いやられて人でごった返している。

「これ、みんな『アーム』の人たち?」

「まだ隣にもいるよ。それに全員じゃない。これから来る奴らもいる。バーニィとTBは?」

「ラオスーと話をしてから来るって」

「そうかい」

「レン!」

 店の中からキャットとフランチェスカ、それにクリスが出てきた。

「お前、ちょっと見ない間に、なんかがっしりしてきたな」

 キャットが僕の腕をたたく。

「ラオスーに鍛えられたんだ。クリス、怪我はもういいの」

「ああ。あのときはすまなかったな、レン」

 僕は首を振った。

「腕前もぜんぜん落ちてないわよ」

 フランチェスカがクリスの肩をたたき、クリスは苦笑いを浮かべた。

 そのとき、僕の背後で聞き慣れたぱたぱたという軽い足音がした。

 僕は振り返った。

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