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パンプキンとカカオ  作者: Han Lu
プロローグ
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プロローグ

 大人になったら何になりたい?

 そんな質問が成立する世界があるってことを、僕は知らなかった。

 大人になったら……。

 ここ『西部』では、たいていは農場で働くか、職人になるか、商人になるか、大きく分けるとその三つだ。

 体が丈夫なら農場の住み込みに、手先が起用なら職人の弟子に、金勘定が得意なら商人の見習いに、そんなふうにみんな自然に何かになっていく。だから、子供の頃に誰かからこんな質問をされた記憶もない。でも、もし尋ねられたとしたら、僕の答えはふたつあった。

 ひとつはもちろん、カウボーイ。『西部』の男の子なら誰でも一度は憧れる仕事だ。千マイルにも及ぶ長い牛追いの旅、キャトルドライブ。

 そのルートのひとつ、エイヴリー・ビートントレイルがうちの土地のすぐ近くを通っていたから、彼らの姿をよく見かけた。小さい頃はキャンプファイアの周りに集まる彼らのところへ、母の作った料理を持って行ったりもした。彼らと夕食をともにしたこともあった。

 ダッチオーブンで作ったチリコンカーン。焼きたてのビスケットと分厚いベーコンに濃いコーヒー。立ち寄った町で行われるロデオで腕を競い合う。数百頭の牛を運ぶ過酷な旅程をこなす、優れた技能を持った男たち。それはとてもハードだけれど、充実した生き方に見えた。

 もうひとつは賞金稼ぎ(バウンティハンター)。子どもっぽい夢だってことはわかってる。銃なんて数えるほどしか撃ったことがないし、腕前もさっぱりだ。

 たぶん僕は、いずれ父の職を継ぐことになる。十歳の頃から父の仕事の手伝いをするようになっていたし、それはそれで、悪くない選択だと思っていた。

 僕が初めて彼女たちと会った、十六歳のあの日までは。

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