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癒してくれるおじさんのおはなし

作者: 紫藤 楚妖

この物語はフィクションです。この作品はすべて筆者の妄想であり、作中の行為の結果生まれたいかなる不利益にも筆者は責任を負いません。


目を覚ますと俺は椅子に縛られ固定されていた。

おかしい、昨日はいつも通り自分の家で眠ったのに。

「ふっふっふ。目が覚めたかね」

白衣を着た男が現れた。

「だ、誰だお前は」

「私の名前か、そうだな。ふむ、ドクター、とでも呼んでくれ」

「ドクター?お前は医者なのか?」

「そうだ、ともいえるし、違う、ともいえる」

あやふやな答えに俺は苛ついてくる。

「どういうことだ。何が目的だ」

「落ち着け。私はお前に危害を加えることはしない」

「そういうつもりなのならまずは拘束を解いてもらおうか」

「いいとも。君が眠ってる間に椅子から落ちてけがをしないためにしてたものだしな。目が覚めたら必要ない」

そういうとドクターと名乗った男は拘束を解き始める。

「もう一度言うぞ。何が目的だ」

「簡潔に言うとわしの目的はおぬしを癒したいのだ」

「はぁ?」

意味が分からない

「おぬし、最近仕事続きでえらく疲れていないか」

「そりゃ、社会人だからな」

「だからといってマッサージに通うこともしていないだろう」

「ああそうだ」

残念ながら給料をそんなにもらってないしマッサージに行くよりも家で寝ていたい

「そういういろんな面で余裕のない人間を癒すのがわたしの目的だ」

「なるほど。言いたいことは分かった。だが俺は誰とも知れぬ人間に癒されたくない。さっさと帰らせてもらおう」

「いいのか。おぬし、さっきから目が楽じゃないか?」

「?ああ。たしかに」

なんだか目の周りが暖かくて気持ちいい気がする。

男が鏡で俺の姿を映し出した。するとどうだろう。俺の頭には細い針のようなものが数本刺さっていた。

「なんだこれは!さっさとこれを抜け!」

「わかったよ。しかしこの頭皮鍼のおかげで目が楽になったんだぞ」

「これは針治療なのか?」

「そうだ。まあ普通の針と違ってマイナーかもしれんが。これで顔の周りの血行を良くしたんだ」

そういいながら男は俺の後ろにまわって針を抜いていった。

「これで信用してくれたかな?」

「……。悪かった。乱暴なことを言って。あなたのことを信用するよ」

「ありがとう。じゃあ次は、おっとあまり時間は残ってないな。それでは耳掃除にしようか」

男は先が曲がった金属製の棒を持ちながら言った。

「さあいくぞ」

ゴソゴソ。ゴソゴソ。

「うーむ。やっぱり鼓膜のあたりで固まっているな。だが私にかかれば、ほいっ」

ぺりっ!声と共に耳の奥できもちいい電撃がはしった。

「みろ、これが今取れたものだ。埃と耳垢と髪を切ったときに耳に入った短い髪が固まったものだ」

「うわ、こんなものが…」

「もう片方もやるから動くなよ」

「はい。わかりました」

男の妙技を味わいながらおれはまた眠りについた。


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