0章
はじめまして。小説家になろうで投稿する初めての作品になります。
細かいところがわかっていなくて不備もあるかと思いますが、
楽しんで読んでくださると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
かつて、この森は精霊が棲むと言われていた。
大陸を四等分に隔てた丁度中央地点に存在し、その広さは大国ひとつほどに匹敵した。
それほど広大な土地であるにもかかわらず、もともとどの国にも所有されておらず、樹齢を何千と経たような身丈の長い木々が立ち並び、所によっては日光も届かないほど鬱蒼とした場所には地元の者でも踏み入らない。特にここが協定を結んだ国々の指定する禁猟区となってからは、この森で産まれ育った者以外には、滅多に来るものなどいなかった。
森の丁度中央に当たる場所は小高い丘になっており、そのあたりだけは大樹で囲まれているだけの草地となっていた。西の在る国では満月の日に妖精が躍るという童話があり、東の在る国では精霊たちによってえらばれた王が太陽に祝福されるという民話が語り継がれた。
そんな場所に、ある少女のための塔が建てられた。
かつて彼女は、貧しい集落の生まれであったがゆえに森に捨てられ、森にすむ者たちによって匿われ、育てられた。人によって幾度となく危害を加えられ、また、人によってその危機を脱し、救われてきた。
結果として彼女は、民から選ばれし者となった。
彼女には前世の記憶がある。
それがこの世界に生きる上での救いとなり、また、力となったのだろう。
これは、そんな少しだけ変わった、風変わりな少女の物語。




