第6話【体育祭にて②】
────えっ、いま何時⁉
スマホを見てビックリ。お昼を通り越して十四時を回っていたのだ。
ダッシュでグランドに向かうと体育祭はすでに終盤で、取り急ぎクラスに戻ると男女混合リレーの真っ最中だった。
白熱するクラスの応援を受けていたのは川内クン。目の前を駆け抜けて行く彼の姿に、女子は王子コールで大熱狂。
やっぱり人気スゴイなぁ……。
他のクラスと競ってる中、次の走者は美穂ちゃん。川内クンからバトンを受け取り走り出す彼女を、わたしは大絶叫で名前を連呼しまくる。
イケイケイケイケ……こぶしを突き上げ、ジャンプしながら叫ぶわたしを尻目に、美穂ちゃんはそのまま一位でゴールしたのだ。
「スゴイよ美穂ちゃん! カッコ良かったよ、スゴくカッコ良かったよ!」
大絶賛で迎え待っていたわたしを見ると彼女は、今にも泣き出しそうな顔をして、
「陽菜ぁぁ、本当にゴメンね……」
そう言って両手を回し、力いっぱい抱きついてきた。
「こっちこそだよぉ。美穂ちゃんは何も悪くないよぉ……」
友情を噛み締め合っているのに、空気を読まない馬鹿担任がテンションマックスで演説を始める。
「凄い、凄いぞぉ、お前達! 次のクラス対抗リレーで一位だったら、逆転で総合優勝だぞ。──優勝商品は三日分の学食チケット、クラス全員にだ!」
食べ盛りの高校生にとって三日分の学食チケットは、黄金にも勝るドーピングワードだったようだ。
誰が言った訳でも無く、クラス全員で円陣を組み始める。
「二年B組、優勝するぞぉぉ……」
『────オオッ!』
まるで戦国時代の合戦さながらの気合ぶり。
しかも……、
「菅原、次も頼んだぞ?」
ガンちゃんにとっては、みんなに言っている言葉かも知れないけど、美穂ちゃんにとっては神様から世界を託されたのと変わらない。
「はい、頑張ります! ………………頑張ろうね、陽菜⁉」
立ち昇るオーラを感じながら、美穂ちゃんに握りしめられた両手を握り返し応える。




