第5話 洞窟アタックしちゃいました。
「次、オマエ行け」
ここは洞窟の入り口です。
そう言われたコフリンは、指示したイカ男と洞窟を何度も見てました。
明らかにビビってます。
なぜなら先行した男子モブと女子モブは、体中が粘っこい黄色い汁まみれで、放心状態だからでした。
なのにイカ男、肝試しのノリで一人ずつ洞窟アタックさせてます。
しかもノーアドバイス。
実践主義とは名ばかりの鬼畜の所業でした。
ちなみにゴブリンの習性は男はチマツリに、女はナグサミモノにするそうです。
最近のゴブリンは男もイケるクチなのかな?
そう考えて二人を見ると、なんか …… オエッてなりました。
「こんなことをして、何になるっていうのよ。ひどいっ、信じられないわ」
「何になるかって? それは自分次第だぜ。お譲ちゃん」
イカ男、キメゼリフっぽく髪をファサっとしてました。
ただの無責任発言なのに。
【カンナ、彼、やり過ぎじゃないかなぁ】
ハチベエ、とても心配そうです。
ちなみにこのドグサレ人形、呪いの力で今まで、無垢で何も知らないか弱い冒険者を、何人も無慈悲に葬ってきました。
自分はとても高い棚に上げるタイプのようです。
カランコロン、つっかけが鳴ります。
結局コフリンは、言われるがまま奥へと進んでいきました。
装備はワンピースにフリルのエプロン。冒険というよりは、八百屋に買い物スタイルでした。
ほぼマルゴシです。大丈夫かな?
大丈夫じゃありませんでした。
コフリン、高速四つん這いで戻ってきました。
ケガはなさそうですが、青い顔でのたうち回ってます。
気が触れたのかな?
テゴメにされて、アッチの世界にイッちゃったのかな?
フジサンロクの空気のおいしい病院で一生幸せに暮らしてね。
ゴブリンは、男どころかコフリンでもイケるクチのようでした。
ビッチは、平然としながらバナナの皮をむいてました。
この光景が、一番グロテスクでした。
仕方がないので、わたしもクッキーをほおばりました。甘くておいしい。
よく喉を通るって? 甘いものはベツバラでしょ。
「次、てめえだ」
イカ男、ドンちゃんに向けて、アゴシャクリしました。
「き、決め手のトドメの切り札は、最後のラストでフィニッシュが定番のセオリーかつテンプレートに決まって決定的だろ?」
必死なのは伝わってきました。
「ウルセエ。行け」
「自ら自分で赴き行ったらどうなんだ? それともあるいは恐怖が怖くて恐ろしいのか?」
イカ男、『何ヨットスクール』も『ワタナベの何』も真っ青のスパルタです。そんな気がします。
それでもあるいはドンちゃんひるみませんでした。
「ワシが行くわい」
イッテツはラクダ色のシャツとハラマキを勢い良く脱いで、地面に叩きつけました。
イッテツはテーソーの危機なのに、半裸で洞窟にノッソノッソ行ってしまいました。
心意気はアッパレですが、関わりたくないと思いました。
あとドンちゃん、うれしいのはわかるけど、笑みこぼれすぎだと思うんですけど。