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うんちーと!【外伝】  作者: もり
新人教育の話
4/10

第3話 おじいちゃん先生にたのまれちゃいました。

「カンナ! なんで勝手に帰っちゃうかなぁ」


 ビッチ、腕を組んでつま先トントンしながら、ほっぺたふくらましてます。

 ビッチ、ごめん……怒りたいのはこっちなんだけど。

 豪華な馬車は、ほぼ荷馬車。豪華なスイーツは、黒バナナ。極めつけに、勇者様はただのオッサン。

 海のように広く深い心でも、限界はあるからね。覚えておいてね。


「あのさ〜、カンナ。またお願……」

「やだ」


 間髪入れずに断りました。


「話だけでも聞いてくれないかなぁ〜」


 少し考えましたが、話だけ聞くことにしました。


「サンキュー、カンナ! お〜い、こっちこっち〜」


 ビッチ、手招きしてます。このセツナ、話だけではなくなりました。

 そして、セツナと思ったわたしは、のちのち後悔することになりました。


「あのね〜、あそこの神殿のナントカ・ナントカっておじいちゃんいたでしょ〜。その人に頼まれちゃったんだよね〜」


 そこには5人の若いだけのパッとしない男女が並んでいました。

 ってかビッチ、あのおじいちゃん、ナントカ・フォン・ナントカ・ナントカ伯っ。「フォン」と「伯」くらいは覚えてよね、まったく。

 で、ビッチが言うには、おじいちゃん先生に新人の教育をして欲しいってことでした。

 と言うのも、あれから転生しては行方不明を繰り返しているようで、まともに冒険者になる人、0人。

 行方不明とやんわり言ってるけど、はっきり言ってナムーです。ナムー。


「こっちはカンナ。君たちの大先輩ですっ」


 ビッチ、私に構わずどんどん話、進めていきます。私、構わなきゃダメなんじゃないの?


「じゃあ〜、一人ずつ自己紹介してもらおうかな〜」

「アスカです」


 苗字、ソーリューって言わない?


「ナオトです」


 ダテ? キリハラ? シロガネ?


「イッテツです」


 ちゃぶ台返す? 目、燃える?


「アキコです」


 隣の人の娘? 弟、ヒューマ? 木陰で泣く?


「ボクは永遠(とわ)の刹那。フェニックスの麒麟児。神童の申し子。アキラだ!」


 一人、すごいのがいました。早くもここから立ち去りたくなりました。


【新人って初々しくていいねぇ〜】


 なんの関係もないハチベエが、ひとごとのように横から口だししました。

 ちょこっとだけ、その舌、引っこ抜きたくなりました。


「皆さん転生、お疲れ様で〜す。大変でしたね〜」


 そのビッチの口調に大変さは感じられませんでした。とってつけた感、満載です。


「あの刹那、驚きを超えて驚嘆すら嘆いたさ。そうだね、あれこそまさに世界崩壊の崩れる足音の()。この世の終わりの終焉的深淵の淵。マルハゲドンの前兆の兆しを刹那に感じたね。刹那に」

「うんうん、分かります分かります」


 アキラ改め、マルハゲドンのドンちゃん、刹那率高いわりに意味不明でした。

 ハイ・セツナ・ロー・イミでした。ビッチ、本当に分かってるのかな?

 ビッチ、ドンちゃんの言うことに、いちいち心配そうにコクコク頷いてます。

 私はそんなビッチが心配でした。


 その時、遠くから声が聞こえました。


「俺の名を言ってみろっ!」


 どこか遠くへ行きたくなりました。

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