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うんちーと!【外伝】  作者: もり
勇者さまにあった話
2/10

第1話 ビッチにおねがいされちゃいました。

「ねえ、ちょっとでいいからさ〜手伝ってくんないかな〜」


 両手を顔の前で合わせ、首をかしげたと同時に片目だけを器用につぶる、したたかな態度のこの女はアヤ。

 私と一緒に転生してきて、いろいろあって、今は「英雄」とか「勇者」とかともてはやされて最近テング街道まっしぐらです。

 しょうもないメスブタです。この程度の女、ビッチで充分です。

 たぶん、安っぽい男はイチコロなのでしょう。

 そんな私はと言いますと、ビッチの媚びた仕草が気に入りません。

 右拳を顔面の中心めがけて、メリッとやりたくなっちゃいました。メリッと。

 いくら心が広い私でも、許せないこともあるからね。覚えといてね。


「いいでしょ〜、カンナ〜」

「やだ」


 ビッチのお願いは、私にモンスター退治の手伝いをさせることでした。

 だけど私は、カヨワイただの女の子です。

 怖いし汚いし何より面倒くさいので、丁重にお断りをすることにしました。


「近くまでカワイイ馬車で行くんだって。きっとイスもフカフカできもちいいよ〜」


 思わずピクッとしちゃいました。私としたことが。


「3時になったらスイーツもでるんだよ〜。絶対甘くておいしいよ〜」


 今度はビッチがピクッてなりました。

 私が、すごい速さでビッチの方に首を回していたからでした。いけない、いけない。


「隣の国の勇者様も来るみたいだよ〜」


 い、今、なんつった?

 隣の国の勇者様が、なんつった?

 隣の国の勇者様が来る、なんつった?


【カンナ、食いつき過ぎだよ。ヨダレ出てるよ。アヤ、引いてるよ】


 この鼻につく声の主は、呪の人形ハチベエです。以上。


【最近ボクのあつかい、密かに軽いよね。軽いよね!】

「気のせい」


 最近じゃありません。ずっと前からです。

 ついでに言うと、密かにでもありません。あからさまです。


「カンナ、どうする〜?」


 ビッチが念を押しました。


「いく」


 ビッチ、にへっと笑いました。

 ハチベエはため息をついていました。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 馬車がゴトゴトと揺れます。

 どこらへんがカワイイ馬車といえばいいのでしょう。見るからにただの幌馬車です。

 ザ・幌馬車ってフォルムです。超ドナドナです。

 ビッチ、ペナルティ1ね。3つたまると退場だからね。

 ちなみに悪質なのは一発退場だからね。


「カンナとこうしてるの久しぶりだね〜。楽しいね〜」


 ビッチはそう言いながら、3時のおやつのバナナを、おいしそうに食べてました。

 ってスイーツってバナナかいっ! ビッチ、早くもツーペナです。


「黒い部分はねシュガースパークって言って、すごく甘いんだよ〜」


 ビッチ、アホ炸裂です。シュガー、スパークさせてどうすんの?

 それシュガースペースって言うんだよ。ちゃんと覚えてね。

 そういうビッチのバナナは、全体の90%以上がビッチ流に言うとスパークしていました。

 私の手にも同じようなバナナがあります。甘いかもしれませんが、なんかイヤです。


 ゴトン。

 馬車が石か何かを踏んだのでしょう。衝撃が走りました。

 木でできたイスは、その衝撃をダイレクトに私のおしりに伝えました。

 ビッチの言うフカフカって何? 抗議の視線をビッチに向けると、にへらにへら笑ってました。

 反省の「ハ」の字も「ン」の字もありません。ついでに「セ」の字も「モ」の字もありません。

 これは完全にペナルティ案件ですが、3枚目は慎重に出さなければなりません。何故かそう思いました。

 命拾いしたね、ビッチ。

注:バナナの黒い斑点は『シュガースポット』です。

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