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神は落ちた
男は悪辣だった。
男は、この世の全てを呪っていた。
男は母親に死んで欲しかった。男は恋人に……恋人はいなかった。男は友達に……友達もいなかった。
男は、近所の人間に死んでほしかった。
男は世界が憎かった。
生きとし生けるもの全てに極限の苦痛を味わせ、生まれた事を心底後悔しながら惨めに野垂れ死にさせたかった。
男は、自分のこのような状況の原因は世界全てだと考えていた。だから誰でもいいから死んでくれ。
それができない人生は、価値がないものだったのだ。
だから。
男は生まれて初めて、心の底から湧き上がる喜びという物を感じていた。
とっさに外に出て、見上げた夕空から落ちてくる隕石が、クソッタレな世界が確実に終わると容易に想像できる大きさだったから。




