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フクロウの婚約破棄(feat.女将)

作者: ぺいた
掲載日:2026/05/21

すみません、魔法だの魔物だの出てくるのが異世界で、適当貴族の話は現実世界だと思ってたんですけど、どうも違うようなのでジャンルを異世界に変えます。


「気弱な婚約解消」を書いたらこれも思いついたので書きました。

あと(feat.)ってのを1回使ってみたかったので使いました。

卒業パーティーの会場。仲良しの令嬢とお話をしていると、

背後から私の名を呼ぶ声がした。


「ク…クラウディア…」


来たわね。私の婚約者である王太子。

私のエスコートもせず、ピンクブロンドの子爵令嬢を侍らせて…


………侍らせてる、という感じじゃないわね。

令嬢に支えられてるというか、抱えあげて引きずられて

連れてこられたというか…。


まあいいわ、とにかく話を聞きましょう。


「なんでしょう殿下」


私が微笑みながらじろりと視線を向けると、


シュウウゥ


アフリカオオコノハズク(フクロウの種類)が外敵から身を護る時

のように殿下が細くなった。いや外敵扱いするなよ失礼だな。


「殿下!がんばって」


ピンクブロンドに応援された殿下は、ハッとして元通りの身体になった。

そして気を取り直してこちらを見て


「クラウディア、おまえと

「おまえ!?」


おまえ呼ばわりにむかついた私が大声で話をさえぎると、


「いやあの、お、お、おま…おまえ…おまえさん…じゃなくて」


ピンクブロンドが肘で殿下をつっついて、小声で「君、君」と言う。


「あ、そうか、君、君だ。君との…」


「君との?」ゴゴゴゴゴという効果音が聞こえそうな顔で圧力をかけた。


「……」(ガクガクブルブル)


「……」(ゴゴゴゴゴ)


「(小声)婚約を破棄する」

言葉を発せられない殿下に焦れたのだろう、ピンクブロンドがこっそり

耳打ちする。


「こ、婚約を破棄する…!」


「……婚約破棄。 婚約解消とは違う、一方的な通告ですわね?

理由をお聞かせ願えるかしら?」


「(小声)君は子爵令嬢に嫌がらせをした」

またピンクブロンドが耳打ちする。おまえは船〇場吉兆の女将か。


「きみはししゃくれいじょうにいやがらせをした」

「(小声)王妃にふさわしくない」

「おうひにふさわしくない」


もう何も考えずに、ピンク女将に言われた通りに喋ることにしたらしい。

鳥頭か。


「身に覚えのないお話なんですが、私が嫌がらせをしたという

証拠はあるんですか?」


「(小声)マリアンヌがそう言っている」

「マリアンヌがそういっている」


女将、マリアンヌって名前だったのか。


「(小声)彼女は嘘をつかない」

「かのじょはうそをつかない」


「ということは、私が嘘を言っているとお思いなんですね?

嫌がらせをしておきながら、知らぬふりをしていると?」


「(小声)とぼけるんじゃない」

「とぼけ

「はああ!?」

私の声でまた殿下がシュウウウっと細くなった。


「面白いことをおっしゃいますのね。私は王太子の婚約者として

学園での生活にも必ず護衛がついています。私の潔白は

護衛のかたが証言してくださるはずですけど、それでも彼女を

信じるとおっしゃいますの?」


「う、うそよ、護衛なんていなかった!」

「う、うそよ、ごえいなんていなかった」

フクロウも少しは考えてから喋れ。


「他の生徒の邪魔にならないように気配を消していましたからね。

とりあえず私も、こんな茶番につきあわされるのはうんざりなので

婚約破棄は承りますわ」


女将とフクロウがホッとしたような顔を見せる。


「ただ、こんな問題を起こした人間が王太子というのは

問題があると思うので、おか…子爵令嬢の家に婿入りという形に

なりますわね」


「え!」

「え!」


女将とフクロウが毛を逆立ててぶわっとふくらんだ。

ふくらむこともできるんだ…。


「そして、王太子妃教育を受けた私が王家以外に嫁ぐのも問題があるので、

第二王子であるアラン様を伴侶とさせていただきます。自動的に

アラン様が王太子ということで、よろしいですわね、陛下?」


「へ」

「へいか??」


女将とフクロウがあわてて背後を振り返る。

私への宣言に必死で、国王陛下と王妃様の存在に、まったく気づいて

ませんでしたよね。後ろからものすごい目で見られてたのに…。


「まさか自分の息子がここまで愚かだとは思わなかった。

クラウディア嬢の言う通りにしよう」


「そんな!」

「父上!?」


「慰謝料もちゃんと払え」


「!」

「!」


2人して細くなった。あらまあ、仲良しのつがいね。


こうして私は、情けないフクロウのかわりに、大好きなアラン様と

結婚できることになったのでした。めでたしめでたし。

船場〇吉兆のニュースって、もう20年も昔のことだったんですね。びっくり。

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