1、砂からの土産・すなどけい
夕日に当たり、赤く染まる砂時計。
陽が落ちていくにつれてだんだんと、暗く、影がまとわりついていく。
陽の明かりがなくなり、真っ暗になったお部屋に佇む砂時計。
それは、暗く、光を当てないと存在もわからなかった。
放課後。
部活を終えた私・刻野砂凪は一人、誰もいない家へと帰宅した。
「ただいま。」
静かな廊下に声が響く。
冷蔵庫の製氷器の音や自分の足音がよく聞こえてくる。
リビングにあるソファーに荷物も置かず制服のまま腰掛け、はーっと深いため息をつく。
「部活で、また顧問の先生に怒られちゃったなぁ…。先輩と同級生と、さらには”頼りになる先輩!”でいたかった後輩の前でも怒られちゃったし。どんな顔して明日から部活いけばいいのよぉ〜!!!!」
誰もいないから、聞こえないから、本音をつい大きな声で漏らしてしまう。
叫び終えた後、また静寂が訪れる。
冷蔵庫の製氷の音.........に加えて、なにやら『サラサラ……』と砂の落ちるような音が耳に入ってきた。
「砂………?そんなのうちにあったっけ?」
どうでもいいはずなのに、なぜか気になって音の出どころはどこなのか探してしまう。
フラフラと家の中を探してみると、一つ、目を引くようなものがあった。
自分の部屋の机の上、夕日に照らされて赤く染まった砂時計だった。
三寸くらいの小さな砂時計だった。
家には私以外誰もいなかったのに、いまひっくり返したかのように砂が落ちている。
誰のものだろう?
誰かの忘れ物かな?
それともお母さんからのプレゼント?
__私以外誰もいないはずなのに、どうして砂が落ちているの?
疑問がいくつもいくつも浮かぶ。
不可解で、可笑しなことばかり。
でもそんな疑問はよそに、無意識に、誘導されるように砂時計へと手を伸ばしていく。
砂時計に触れる寸前、ふと脳裏に、”しくじった私””下手に注目を浴びる私””俯く私”の姿がいくつも浮かんでくる。
触れた時、砂時計は冷たかった。
ガラスだから、冷たいだろうとは思っていたけど、異常に冷たい。氷のようだ。
まるで触れてはいけないものだと訴えているようだった。
触れてはいけないものだと本能ではわかっていた。
でも、この砂時計をひっくり返してしまったらどうなるのだろう、という好奇心が砂時計を持つ手を止めない。
震えそうな私とは裏腹に、私の手だけは期待に満ち溢れたようにくるりと砂時計をひっくり返す。
何秒か待ってみるものの何も起こらない。
「なんだぁ。緊張して損した〜」
ほっと息をつくと、手から自分ものではなかったような感覚が抜け落ちる。
驚くほどにサラリと砂時計を握る手を離してくれた。
____かと思ったら徐に砂時計が私の目の高さまで移動してくる。
…………宙に、浮いている…。
へ???????
驚きの声を口に出す間も無く、くるりと、砂時計が自ら半周する。
するとまだ落ち切っていなかった、回転されて下に落ちている砂が重力に逆らうように、上へ上へと上っていく……いや、砂が戻っている。
それと同時にぐにゃり、と視界がぐるぐる回っていく。
酔いそうで思わず目を瞑る。
「....のさん.......こくのさん.......刻野さん!!」
声が聞こえて固く閉じていた目をおそるおそる開く。
すると、目の前に現れたのは、心配そうに私をみつめる部活の先輩。
「え………??」
素っ頓狂な声が漏れる。
私…さっきまで家にいて……変な砂時計が浮いて……
ここは…部室??
「顧問に怒られた後からずっとぼーっとしてるけど、大丈夫?」
「お、お疲れ様です!!大丈夫です!ありがとうございます!」
眉をハの字にしておろおろしている先輩が目に入って反射的にお辞儀をしてしまう。
すると、サラサラとした音が聞こえる。
スカート越しに音のしたポケットへ手を当てると、氷のような冷たい感触があった。
ぞぞっと嫌な感覚が私を襲った。
恐る恐るスマホを取り出し、ホーム画面をチラリとみる。
そこには、確かに今日の日付、そして家に帰ったときの2時間前の時間が表示されていた。
そこで私は確信してしまった。
この砂時計は、”過去に戻す力”があるのだと。
新編!!『砂少女』
始めた...のですが、、、
次こそは明るいほのぼのを書きたいと思ってた。(過去形)
でも、このお話は...さすぺんすより.........
やっぱり私の本能が告げてるんですかね?
”ほのぼのは書くべきでない”って
ほのぼのが書きたいものの、こういうのの執筆、楽しいんだよなぁ.......楽しいので続けます...!!
12,000字目標に、短編系で書いてこうかなって思ってます〜
全然途中なのに、たくさんシリーズ?増えてくのなんでだろう
のろいかな...




