4話 顕現
(あれは…魔法陣?極限まで魔力を抑えられているが…あの邪悪な魔力。間違えないだろう。あれは悪魔を顕現させる魔術だ。)
「やあ。ちょっといいかな?」
私は気さくにそのフードの男に話しかける。
「誰だ?」
「私?私は霧宮明日香。魔術協会第3部隊副隊長だよ。」
その言葉に目の前の男は少し驚いた表情を浮かべる。
「魔術協会…。なるほど。まさかバレるとは。」
「たまたまだよ。本当にここで見つけれて良かったよ。」
刹那私はその男との距離を一気に詰める。
「チェック。」
その言葉とともに私は男の首元にナイフを突き立てる。
「ここまで…ここまで実力差があるとは。」
「第3部隊の副隊長なんでね。」
「あぁやっぱりこの世界は理不尽だ。こんな世界壊れてしまえばいい。悪魔様どうかこの世界を…壊してください。」
瞬間目の前の男から異様な気配。私は咄嗟にその首を切り落とす。
だが…。その瞬間魔法陣は紅く輝きだす。それと同時に空の様子も一変。空中の魔力が全てその魔法陣に集まり始める。
「っつやらかした。死を縛りとした魔術を行っていたのか。警戒しすぎた。だが…だとしてもこの魔力量…一体何人の人間を犠牲にしている…。」
その魔法陣は回転し始め空中に浮かび上がる。
(この状況での最善は…魔法陣を破壊すること。)
その考えが浮かび上がるとともに私はその魔法陣に向かって攻撃をしかける。
ガンッ
そんな音とともに私は弾き飛ばされる。ダメだ。破壊は無理…だとしたらどうすればいい考えろ。
考えを巡らしている時魔法陣の回転は止まる。それと同時に一瞬ほんの一瞬世界に暗闇が訪れる。
「ふむ。久しぶりの現世だが…。ほぉそこそこ楽しめそうな人間がいるな。」
私はその顕現した悪魔を見て咄嗟に本部に連絡を入れる。
「聞こえるか?至急東京全域に避難命令。そして応援を頼む。一般隊員は要らない。最低でも副隊長だ。そこからじゃないとこの化け物には…相手にすらならない。」
そう通信を残すと私はその通信を切る。
「んで?君はどのくらいの悪魔なのかな?」
「我か?我はソロモン72柱ガープだ。」
(ソロモン72柱…やはり上位悪魔か。魔術協会で言われている上位悪魔の対処法…それは。)
「相手に何かをさせる前に潰す。【魔術解放】」
刹那先程までとは比べ物にならない速度で叩き潰す。
「まだまだ!」
今さっきまで使っていたナイフをしまいもう一つのナイフを取り出す。
「【魔剣 空凪】」
この世界の武器には魔術が付与されている魔法具というものがある【魔剣 空凪】はそんな魔法具の1つ。
この魔剣に付与されている効果は…
「対象の切断。」
次の瞬間そのナイフを横に凪ぐ。それと同時にガープの肉体は切断される。
私が視認している存在を切断することができる。距離、硬度などは関係ない。私が視認している限りこの斬撃から逃れることはできない。
「倒せた?」
私はそう言いながら切断されたガープの目の前に立つ。
が、次の瞬間物凄い魔力が集まるとともに爆発する。
「がっっっっ。」
そのとっさの爆発に私は避けることができず、もろにその攻撃を受けてしまう。
「なに?今の。」
「まさかこんなはやく本当の姿になるとは。いやはや貴様は本当に強い人間なんだな。」
(生きている…?いや、関係ない。私が視認している限り何回でもあの斬撃を…。いない?)
「遅いわ。」
背後からの声。それに反応するよりもはやく殴り飛ばされる。
あたりのビルを何棟も貫きながら私は吹き飛ばされる。
(まずいまずいまずい。)
私が体制を立て直すよりもはやくガープは私の目の前に現れる。
「避けてみろ。」
眼前にその拳が迫ってきている。私は咄嗟に後ろに飛び距離をとる。
(あまりにもはやすぎる。身体とともに強化された私の目でも捉えきれない。だとすると…転移?)
「我の権能は三つ。まずは先程から見せておる【転移】そして貴様のような強者には効かないが【意識操作】最後の権能は…【触れた相手の感覚の操作】だ。」
次の瞬間私の目が見えなくなる。
(感覚の操作…五感を封じてきたってとこ?だけどだとしたらこの魔剣は意味がなくなる。そして音も視界も匂いも封じられた今、)
「ぐっはぁ。」
(魔力の流れでしか相手の位置が認識できない。これは…死んだわね。)
「じゃあな。そこそこ楽しめたぞ。人間。」
「はぁ…結局…俺がでないといけなくなるのか。」
瞬間ガープと霧宮明日香との間に1人の男が現れる。
「霧宮?だっけ?よくやった。後は任せろ。」
そう言うとともに俺は霧宮明日香に触れる。それと同時に霧宮明日香を違う場所に【召喚】する。
「んで?悪魔…だっけ?」
「我はソロモン72柱ガープだ。」
「あぁ。なるほどね。そりゃああの副隊長さんじゃ倒せないわけだ。相性が悪すぎる。それともこいつを顕現した連中はそれを狙って選んだのかな?」
「なにをブツブツと…貴様はここで死ぬのだぞ?」
ガープがそう言うと同時に俺は微かな笑みを浮かべる。
「お前の強みはその権能の初見殺し性能だ。言っておこう。お前じゃ俺には勝てないよ。」
そう言うとともに両者は動き始めるのだった。
用語解説!
権能…神や悪魔が持っている魔術より高位の異能の力のこと。基本的に魔力切れといった概念はないのと優先順位が権能の方が高くなると考えてもらっていいです。
稀に人間が持っていることもある。




