2話 第三部隊副隊長
召喚魔術。この魔術は世間では最弱魔術と言われている。
何故、最弱魔術と言われているのか。それは召喚魔術はあまりにも魔力消費が激しいからだ。
魔術というものを使うにはどんな魔術だろうと例外なく魔力というものが必要となる。
召喚魔術はその必要となる魔力量が異常に多い。まあそりゃあそうだろう。召喚魔術はその名の通りあらゆる物を召喚する魔術だ。
人間程度の大きさであればまだいい。しかしこの世に存在する生物にはそこら辺のビルのような大きさの龍など規格外の大きさの魔獣がうようよ生息している。
そんな物を召喚などするとそりゃあ魔力消費も激しいという訳だ。
もう一つの欠点。それはあくまで召喚魔術は召喚するだけの魔術ということ。
まあ当然っちゃ当然だがいくら龍などを召喚したところでその龍は召喚者の言う事を聞くわけがない。
あくまで急にその場に召喚されただけだ。
つまり召喚魔術の真価を発揮するにはその魔獣と契約を結ぶ必要がある。
しかし魔獣との契約のためにはその魔獣を討たなければならない。
だが、魔獣を討つためには召喚魔術は火力が足りない。
だからこそ召喚魔術は最弱魔術と呼ばれている。
しかし、俺は考えた。生物の召喚が無理なら無生物の召喚をすればいいのではないかと。
そしてそれは成功。俺は召喚魔術で火力をだせるようになった。
それがあの氷山を溶かす火力を得れる理由である。
「ねえ君。ちょっといいかな?」
俺は背後から肩を叩かれその声の主の方向へ振り向く。
「えっと…あなたは?」
純白の髪に紅の瞳。その綺麗な赤い眼に思わず引き込まれそうになる。
「私は魔術協会第3部隊副隊長霧宮明日香。」
魔術協会。それはこの世界の秩序を守っている組織だ。警察の効力はあくまでその国だけだが魔術協会はその限りではない。あらゆる国において警察同様秩序を守るための正義を振りかざす力を持っている。
「魔術協会の人が何の用ですか?」
「いやー。君の戦いの様子見させてもらったよ?」
「あれは正当防衛です。」
「や、別にそれを咎めようとしてたわけじゃないよ?それに彼は有名な不良だ。別に君を疑ってもいない。」
「では、何か問題が?」
「でもさ、君も最弱魔術…召喚魔術の持ち主だってこの辺じゃ有名なんだよ?そんな君が彼をほんとに倒せるのかな?」
「さて、倒せてしまったのが事実なのでなんとも言えないですね。」
「そう。なら…。」
刹那目の前の女からは殺気が放たれる。それと同時、ほぼ反射的に俺は足元に召喚魔術を展開しそれと同時に後ろに下がる。
「っつ」
女はその炎をなんとかギリギリで避け、その動きを止めた。
「ただの無能がこんな芸当できるとでも?」
「俺が無能でなかったとして、アンタになんの関係がある?」
(あの速度…普通の人間ではありえない。魔術…だとしたら身体強化系統の魔術…?)
「最近とある犯罪集団が魔術を強化させる違法な薬を配っていてね。君がそれを使っていないとは限らない。だから…さ?ちょっと付き合ってくれる?」
(…。薬は使っていない。しかし魔術協会の検査はどこまでバレるかわからない。俺にもバレる訳にはいけないものもある。)
「悪いが…断らせてもらうよ。」
「これでも私は魔術協会の副隊長なの。私から本気で逃げれるとでも?」
「ははっ。逆に聞くが…逃げられないと思ってんのか?」
俺は手を銃のような形にし指先で召喚魔術を展開し獄炎を凝縮する。
凝縮された獄炎の火力は先程までの獄炎のそれとは格が一つ二つ違う。
「【獄炎弾】」
その凝縮された獄炎は物凄い速度で霧宮明日香を襲う。
「【魔術解放】」
刹那霧宮明日香はその弾丸を切断し俺の眼前まで迫っていた。
「君の負けだよ。」
そう言葉を投げかけるとともに俺はふと笑みを浮かべる。
「あぁ。ここで本気で戦うってなったら負けてたかもな。」
刹那俺の背後には人の大きさほどの魔法陣が展開される。
「っっつ。」
霧宮明日香は攻撃の可能性を考え咄嗟に距離をとる。
「ま、そうだろうな。だが、その行動を選んだ時点で詰みだ。」
次の瞬間その魔法陣は光り輝きその場から俺の存在は消失した。
「…やられたね。自分自身を別の地点へ召喚することもできるのか。だけど…ますます謎だね。なんで彼が最弱の称号をもらっているのか。彼は…この世界の全ての魔術師の中でもトップクラスに位置している魔術師だ。」




