急変
風呂からあがり自分の部屋に戻ると、グループラインが来ている。せわしなく携帯が鳴る。みんな今日は日焼けでひりひりして風呂が辛かったようだ。
白沢は口数は少ないが、ちゃんと既読は3つついている。
白沢と外村が風呂に入っているところを想像してしまった。
……今晩のおかずは決まった。昼間の光景もばっちり目に焼き付けているさ。
だがその前に勉強だ。久しぶりに青チャートを開き基本例題を解く。勉強をがんばると言ったからには、ちゃんとやらないとな。
しかしⅠAとⅡB、これからⅢもある。この分厚い青チャートを例題だけでも全部解くなんて、あと一年半で可能なのか? 早くも心が折れそうになってきた。
携帯はサイレントにし、たまにラインを開いて返信した。
午前0時過ぎ。ベッドに入り、いよいよお楽しみだと思っていると、佐藤さんから電話がかかってきた。
今から一緒に来てほしい場所があるから迎えに行くとのこと。
俺は急いでTシャツとジーンズに着替えた。
外に出ると、昼間はあんなに快晴だったのに豪雨となっていた。
迎えに来たのは島本さんの黒いランエボ。しかし運転席に座っていたのは佐藤さんだった。後部座席には桜井が乗っている。
なんで島本さんの車を佐藤さんが運転しているんだ。
車内では誰も一言も発しなかった。隣に座る桜井も異様な空気を感じ取っているようだった。
佐藤さんの運転でたどり着いたのは警察署。
「これから何を見ても、気を確かに持っていてくれ」
警察署という場所、そして佐藤さんの言葉から、これから目にするものはどう考えてもいいものではない。
……まさか島本さんが逮捕されたのか?
覚悟は決めた。佐藤さんの言うとおり、俺は何を見ても動じない。
佐藤さんについていき、部屋に入った。
そこには白い布を顔にかけられた人間が台の上に横になっていた。体にはシーツがかけられている。
佐藤さんが布を手に取ると、あらわになったのは目を閉じた島本さんの顔だった。佐藤さんは俺に顔を向け、悲しそうな表情をした。
桜井に目を向けると、驚愕と困惑が入り交じった表情だった。
「嘘だろ。目を覚ましてくださいよ、島本さん」
俺は島本さんの体を揺さぶった。寝てるだけでしょう、早く起きてくださいよ。
だが何かがおかしい。やけに軽い。島本さんの体重は100kgはあるはずだ。
俺は島本さんの体にかけられたシーツをはぎ取った。
「やめるんだ黒木君!!」
佐藤さんの制止は間に合わなかった。島本さんの胴体と下半身の断面は透明なビニールで包まれ、赤黒かった。
なんで断面。
「おえええっ!!」
喉元を強烈な吐き気が襲い、俺はその場に嘔吐した。桜井は何も言えず立ち尽くしていた。
今ようやく理解した。
俺のクラスの担任教師――これまで一緒に戦ってきた恩師、島本正文は死んだ。
ここで第一章は完結で、次話から第二章となります。
第二章ではさらなる絶望が纏たちを襲います。
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