悪役令嬢視点 下っ端聖女のところによくいる店員を侍従にスカウトしようとして断られたので、将来的に潰してやることにしました
ガンガラガッシャン!
私の中で何かが壊れる音がした!
「パウリーナの奴、絶対に許さない!」
私はエドガルド様の隣でヘラヘラ笑うパウリーナに対して心に決めたのだ。
私はアレハンドラ・ ミラネス。我が家はこの聖マリアンネ王国を代表する侯爵家だった。王弟殿下が臣籍降下なさってバレンシア公爵家を起こされるまではこの国で一番高い地位にあった侯爵家なのよ。
この国は文字通り聖女マリアンネ様が聖王様と一緒に興された聖王国で、当然筆頭侯爵家の我が家は聖女マリアンネ様の血を引いていた。王家からは何度も王女様が輿入れしていたし……初代侯爵の妻も聖女だった。
そんな私が聖女の力を発現するのは当然だった。
五歳の時の教会検査では発現せずに焦ったが、八歳の時に池で溺れかけて発現したのだ。
力を発現した後はすぐに聖女に認定された。
そんな私に初級ポーションの作り方を教えてくれたのが、パウリーナだった。
この女、平民の孤児院の出のくせにいきなり私のことを、
「アレハンドラの髪って赤くてきれいね」
と呼び捨てにしてくれたのだ。
パシーン!
私は次の瞬間パウリーナの頬を張り倒していた。
侯爵家の令嬢たる私を平民風情が呼び捨てにするなんてことは許せることではなかった。
シスター・ベルタが慌てて飛んできて、パウリーナを叱ってくれたんだけど、私は一刻も早く、こんな下賤な奴の傍から離れたかった。
「アレハンドラ、お前は教えてもらっている聖女見習いに暴力を振るったそうだな」
帰ってきたら父が怒ってきた。
「まあまあ、あなた。相手は高々平民出の聖女見習いだそうではありませんか。それもいきなり侯爵家の令嬢を呼び捨てにするなどとんでもない女ですわ」
お母様が庇ってくれた。
「しかし、その子は五歳からこの大聖堂で初級ポーションを作っているそうだぞ。聖魔力も多いそうだ。そんな子をいきなり張り倒すのは良くないだろう」
「でも、まあ、思い違いをしている子には始めからきちんとケジメをつけさせないといけませんわ」
「それはそうだが、今後はいきなり手を出すのは良くないぞ」
父の言葉に不肖不肖私は頷いた。
まあ、これからは口で言うに留めよう。
翌日パウリーナは謝ってきたが、私は軽く頷いてやるに留めたのだ。
初級ポーションは私の努力で一週間くらいで作れるようになった。
シスターベルタは一年くらい初級ポーションを作る練習をしたらよいとかふざけたことを言ってくれたが、そんな悠長な事は言ってられなかった。何しろ私達の同い年にこの国の王太子のエドガルド様がいらっしゃるのだ。
一度お会いしたエドガルド様はとても見目麗しかった。
私は一目で恋に落ちたのだ。
同い年で一番地位の高いのは筆頭侯爵家の私だ。王太子殿下の婚約者になる可能性が一番高いのは私なのだ。
王太子殿下の隣に立つには筆頭聖女になる必要があった。そのためには中級ポーションから上級ポーションを作れるようにならないといけない。初級ポーションを1年も練習していたら、パウリーナみたいに大鍋で初級ポーションが作れるようになるかもしれないが、そんなことをしてもレベル10以上には行かない。
レベル上げするには中級、それ以上になるには上級を作らないと!
私は半ば強引に中級ポーションを作るフロアに移動した。
中級ポーションは中々難しくて作れるまでに1ヶ月くらいかかった。
それでも私は頑張った。
1年くらいかけて普通に中級ポーションが作れるようになったのだ。
その後上級に移って、やっと今私はレベル26になった。
上級のレベル上げは結構大変で、私の魔力量では1日一本上級ポーションを仕上げるので精一杯だった。
まあ、上級だし、仕方がないだろう。パウリーナは相変わらず、初級ポーション作りに精を出していた。大鍋の大きさが半端なく大きくなっているような気がしたが、いくら初級を沢山作ろうがレベルは10以上は行かないのだ。
そのパウリーナの傍に最近少し顔の整ったエドとか言う男がいるみたいだ。仕事の遅いパウリーナの所に初級ポーションを取りに行くついでに何度か見た。
こういう見目麗しい男を侍従にしても良いかもしれないと、
「ねえ、あなた。パウリーナのところになんかいないで私の所に来る気はない?」
私は平民と思われる男にわざわざ声をかけてやったのだ。
今までの男ならホイホイついてきたのに、この男は違った。
「すみません。今忙しいので」
とあっさりと振られてしまった。
それも私が何か汚いものでもあるかのように見下してくれたのだ!
こやつ、平民の分際で許せない!
アーロン薬店にこんな無礼な男は首にしろと圧力をかけたが、「いくらアルハンドラ様のお言葉でもそれは無理です」
と即座に断られ、あろうことか薬屋はお父様にチクってくれたらしい。
「余計なことをするな!」
と逆に父から叱られる始末だった。
まあ、良いわ。私が筆頭聖女になった暁にはアーロン薬店もこのエドとか言う黒髪の男も破滅させてやる!
私は心に決めた。
ここまで読んで頂いて有難うございます。
アレハンドラ、悪役令嬢の真価発揮です。
睨まれたエドの運命やいかに?
続きをお楽しみに!








