8入学式の挨拶で在校生代表の生徒会長と新入生代表の王太子に名前を呼ばれました
「ではここで、在校生を代表して生徒会長から新入生に歓迎の言葉を述べてもらいます」
後ろの席から生徒会長が立ち上った。
生徒会長は小説にもちょくちょく出てきた3年生のベルトラン・バレンシア公爵令息だ。
やっぱりこの世界は小説の世界なんだ。
私はアニメを特等席で見ている感覚で生徒会長を見た。
「はい、皆さん、こんにちは!」
ここで会長は言葉を止めてくれたけれど、今度は私も引っかからないと口をつぐんだ。
「……あれ? 何故、私の時は誰も返事をしてくれないんだ? 王妃様の時はパウリーナちゃんが返事してくれたのに!」
生徒会長が何故かこちらを見てくれるが、私も学習するのだ。
「俺の時も返事してくれたら良いのに、なあ、エドガルド!」
会長は真ん前にいるエドガルド様に聞いていた。王太子殿下にこんな口をきいて良いのかと思いはしたが、
「日頃の行いが悪いからじゃないか?」
エドガルド様は容赦がなかった。
「あのな、私はエドガルドよりも品行方正だぞ。いきなり側近達を撒いて下町に繰り出したりしていないからな」
「私はそのようなことはしていない」
会長の言葉にエドガルド様は反論した。
「よく言うな。この前お前の所に行ったら、ダミアンが文句を言っていたぞ。『また逃げられました』って」
「お前そんなことをベルトランに言ったのか?」
後ろを振り返ってエドガルド様がダミアン様を睨み付けた。
「違いますって。ベルトラン様がいきなりいらっしゃったのでどこにいるかは知りませんと答えただけです」
「嘘つけ。『また、女のところにしけこんでいるじゃないですかね』って言っていたじゃないか」
「ちょっと待ってくださいよ。それを言い出したのはベルトラン様でしょ」
「頷いていたのはダミアンじゃないか」
「もう勘弁してくださいよ」
「生徒会長、余計な話はそれくらいで」
ダミアン様と漫才を始めたベルトラン会長にロッテン先生が注意した。
「はい。皆さん。皆に人気の氷の王子様のエドガルド様も側近を撒いて女遊びをしていますから」
「してないからな!」
会長の声にエドガルド様が強く否定しているけれど、エドガルド様は人気があるから、女の子も選り取り見取りかもしれない。ヒロインのセシリアさんもエドガルド様と婚約した後が大変かも……
だって私なんてモブにすらならない平民にも優しかったし……なんか付き合っている女が一杯いるかもしれないし……私が不穏なことを考えていた時だ。
後ろを向いていたエドガルド様と視線が合ったような気がして慌てて逸らしたんだけど……
何かエドガルド様はとても不機嫌モードだ。
「まあ、そう言う話は置いておいて、君たちも今日からこの王立学園の新入生だ。何でもわからない事があれば私達先輩諸氏に聞いてもらいたい。基本的に王立学園のことならば何でも答えてくれるだろう。もっとも女遊びのことについては君らの同級生のエドガルドに聞けば良いと思うぞ」
「燃やしてやろうか」
「ちょっとエドガルド、止めろ!」
エドガルド様はいきなり手に火の玉を出そうとして周りに止められていた。
「まあ、諸君、そういう事でこれからもよろしく」
あっという間に生徒会長は舞台から消えていった。
というか、逃げ出したんだけど、いなくなって良かったんだろうか?
「では続いて感謝の言葉を新入生代表エドガルドさん」
「はい」
すらりとした王太子のエドガルド様が立ち上った。
「キャーーーー」
「エドガルド様!」
「素敵!」
凄まじい拍手とともに女達の黄色い歓声が沸く。
凄まじい人気だ。これを見ると先程の生徒会長の言葉もあながち嘘では無いのではないかと不埒なことを考えた時だ。
私はエドガルド様の鋭い視線を感じて思わず首をすくめた。
「先生方並びに在校生の皆さん。今日この日のために色々ご準備して頂きありがとうございます。私達新入生は今日からこの誉れある聖マリアンヌ王国の王立学園の生徒になりました。先程生徒会長からのお言葉にもあったように、私達にもいろいろわからない事も多いと思いますが、よろしくお願いいたします。また、王立学園に入れば学園内は基本的に身分は関係ありません。皆で切磋琢磨して王国の礎になるように頑張っていく所存です。特に、先程、王妃殿下からのお言葉にもありましたが、私達の同期には、先輩達に言われるがままに初級ポーションを作っていたら、いつの間にか隣国ポルト王国の至宝と言われる聖女セシリアさんよりも沢山ポーションが作れるようになったパウリーナさんもいます」
その瞬間エドガルド様が私の方を見られた。
えっ、私?
皆も一斉に私の方をみる。
ちょっと待って!
アレハンドラ様やセシリアさんの視線が怖いんですけど……
ええええ!
私はモブにすらなれなかった一平民の女の子なんですからこれ以上見ないで!
あまりのことに動揺して私はエドガルド様がそれ以上話した事なんて聞いていなかった。
「…………これから三年間よろしくお願いします」
盛大な拍手が起こってエドガルド様の挨拶が終わったけれど、私は心底疲れてしまったのだった…………
ここまで読んで頂いてありがとうございます
前作『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n3871kh/
が何と完結済日間異世界転生ランク第11位にランクインしました
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