7入学式で王妃様に褒められてヒロインを始めとする聖女達に睨み付けられました
「ちょっとパウリーナさん。何を突っ立っているのですか?」
ぼうっと突っ立ってエドガルド様の後ろ姿を見送っていたら、ロッテン先生に見つかって注意されてしまった。
慌てて講堂の中に入る。
「一年A組はあちらよ」
ロッテン先生に真ん中の列を指示されて空いている一番後ろの席に座った。
壇上には偉そうな人が座っていた。
その中にこの前お目にかかって、私を学園に入学させてくれるようにした王妃様がいらっしゃった。
私のAクラスの先頭には銀髪のエドガルド様が見えた。その周りにはカルロス様やダミアン様が見えてそのすぐ後ろの赤い髪は悪役令嬢のアレハンドラ様だ。エビータやデボラも見える。
このクラスでうまいことやっていけるんだろうか?
あれっ、ピンク頭のヒロインがいないんだけど?
私が慌てて探すと、なんとエドガルド様の横に座っていた。
でも、その席ってBクラスでは。
ええええ!
ヒロインがBクラスなの?
どうなってしまったんだろう?
私の戸惑いを無視して入学式は始まった。
王立学園の入学式は前世の記憶の入学式とそんなに変わらなかった。
最初は!
学園長の長いお話は退屈で、思わず欠伸が出そうになった時にロッテン先生に睨まれて思わず欠伸を噛み殺した。
本当に危なかった。
そしてその後来賓として王妃様が挨拶されたのだ。
「この王立学園の在校生並びに新入生の皆さん、おはようございます」
そこで王妃様は言葉を切られたのだ。
「おはようございます!」
ここは挨拶を返すところだと思って私は元気に声を出したら、私一人だけだった。
ええええ!
ここは黙っているところなの?
周りからは白い目で見られるし、ロッテン先生からも睨まれるんだけど、悪いのは私?
私が落ち込んだときだ。
「はい。パウリーナさん。元気な挨拶が出来ましたね!」
王妃様が笑って私を見てくれているんだけど、私は真っ赤になった。
「おい、あの子、王妃様に名前を覚えられているぞ」
「一体誰なんだ?」
「パウリーナなんてきいたことは無いぞ!」
皆が少しざわついた。
「皆さん。静粛に! 王妃様の御前ですよ」
ロッテン先生が全員を静かにさせた。
「この中の多くの皆さんはパウリーナさんの事を知らないみたいだけど、皆さんの大半は彼女に世話になっているはずよ」
王妃様は皆を見渡してくれた。
「皆さんは風邪を引いたら何を飲んでいるの? はい、ではポルト王国からの留学生のセシリアさん」
王妃様はなんとヒロインを当ててくれた。アニメにはこんな場面は無かったけれど、さすがヒロインだ。
「はい。私の国では私の作ったポーションを飲んでもらっています」
「さすが、ポルト王国の聖女は凄いわね。全国民があなたの作ったポーションを飲んでいるの?」
「いえ、そこまでは……さすがに私一人では作れません」
セシリアさんは首を振ってくれた。
「そうよね。聖女の力がいくら強くても、たとえ初級ポーションとはいえ一人の聖女が一つの国の需要全てをまかなうのは普通は無理ですよね」
「はい」
ヒロインは王妃様の声に頷いた。
えっ、そうなの? 我が国とポルト王国の人口は一緒くらいのはずだった。ヒロインは結構聖魔力も強いはずだったのに……初級ポーションは魔力量自体は中級ポーションの半分くらいの魔力量だ。だから沢山作れて当たり前だと思っていたけれど、ヒロインでも出来ないんだ?
「そう、普通は無理なのよ。でも、パウリーナさんは大半を一人で作っているのよ」
「嘘、そんなの信じられません」
目を見開いてセシリアさんが叫んでいたけれど、
「そう、私もその作っているところを実際に見るまでは信じられなかったわ。大鍋に薬草や薬品を入れてあっという間に100本の初級ポーションを作り出したのよ」
「100本も? 私なんて20本しか無理です」
ヒロインが驚いているんだけど……
「普通はそうなのよ。本当に彼女は凄かったわ。はい、皆さん、そんな凄いパウリーナさんに拍手をしてあげてください」
皆慌てて拍手してくれた。
私は王妃様から皆の前で褒められてどうしたら良いか判らなくて真っ赤になっていた。
もっともアレハンドラやエビータら、聖女の同輩や先輩達はしらけたムードで私を睨み付けてくれていたけれど……
「私が大聖堂に視察に行った時に、王妃が来たという事で皆手を止めて私に挨拶してくれました。でも、その中で彼女だけは私など見向きもせずに一心不乱にポーションを作ってくれていたのよ。私はその必死さを見て感動したのです。
貴方たちはこの学園の生徒です。
ここにいるということは将来の聖マリアンヌ王国をしょって立つ逸材なのです。勉強にスポーツに魔術に色々と学ぶことがあるでしょう。パウリーナさんのように一生懸命に取り組んで下さい。それが必ず実を結ぶ時が来ますから。私はそれを楽しみに待っています」
そう言って皆を見渡すと王妃様は壇上から降りられた。
皆一斉に拍手する。
私は王妃様から褒められて真っ赤になっていた。
そんな私を前にいたヒロインがチラリと振り返って見てくれた。
その視線のあまりの鋭さに私はびくりとしたのだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
入学式で王妃様に皆の前で褒められて赤面するパウリーナ
しかし、これで悪役令嬢ばかりかヒロインまで敵に回してしまったような……
どうなるパウリーナ?
今夜更新予定です








