悪役令嬢視点 パウリーナを辺境の国の王子に下げ渡してやることにしましした。
「な、なんで、こうなった!」
私は呆然とパウリーナを見ていた。
まさか、私がパウリーナなんて下っ端聖女に負けるなんて思ってもいなかったのだ。
我が家の懇意にしている侍女からパウリーナが上級ポーションを作ったかもしれないとの情報を得て、急遽、パウリーナの杖をすり替えることまでやったのにだ!
パウリーナの杖さえすり替わればいくらパウリーナでもすぐにポーションを作れるようにはならないだろうと考えたのだ。
私がお母様に相談したら、
「こんな時の為の隠し球があるのよ」
喜々として母が話し出した。なんでも、目立たないビビアナと言う聖女の実家の男爵家に多額の借金を背負わせていると笑って言われた。
お母様がビビアナを呼び出して命じたら最初はいやがっていたビビアナも、
「じゃあ、あなたの家が破産しても良いのね。あなただけでなくて、あなたの妹たちも借金返済の為に体を娼館に売らないといけないかもしれないわ。あなたそんなことを妹にさせたいの?」
お母様は悪魔だった。
半分泣きながら、ビビアナは了承したのだ。
「アレハンドラ、恩はこう言う時のために施しておくのですよ」
母は言ってくれたが、どう見ても脅迫だった。
まあ、私ももっと見習わなければいけないと思い知らされたのだけど……
ビビアナから杖のすり替えは成功したと聞いて私はほっとした。
なのにだ。目の前のパウリーナは平気でドンドンポーションを作っていくのだ。
しかし、初級ポーションなら5回作っても私の勝ちだとのんきに構えていたら、パウリーナはなんと、そのまま大鍋で中級ポーションを作り出したのだ。
私には信じられなかった。
パウリーナは驚くべきことに初級ポーションとほとんど変わらないスピードで、中級ポーションを作り上げてくれたのだ。
私は開いた口が塞がらなかった。
更に驚いた事に、パウリーナはその巨大な大鍋で今度は上級ポーションを作り出したのだ。
私はビビアナを睨み付けていた。
絶対にこいつは失敗したのだ。
でも、ビビアナは必死に首を振ってくれた。
一瞬単なるパフォーマンスだろうと思ったのに、パウリーナは本当に大鍋で上級ポーションを作り上げてくれた。私は今度こそ開いた口が塞がらなかった。
もう負けだ。私のエドガルド様が……
私は泣きたくなった。
「少しお待ちください!」
そこにお母様が声を上げてくれた。
お母様は何と最後にパウリーナとの聖女のレベル対決まで持って行ってくれた。
パウリーナはまだ上級ポーションを作り出したところで絶対に私よりレベルは下のはずだ。
私はほっとした。
測定したら私はレベルが二十七になっていた。
一つ上っていた。これで勝ったと私は安心したのよ。
でも、それは間違いだった。
何とパウリーナはレベルが三十越で測定器が壊れてしまったのだ。
私は完璧にパウリーナに負けてしまった。
お母様もお父様も呆然としていたわ。
エドガルド様は喜んでパウリーナを抱きしめていたけれど、パウリーナの嬉しそうな顔が私の脳裏に焼き付いた。
おのれ! パウリーナ。いつか、いつか必ず復讐してやる。
私は心に決めた。
しかし、パウリーナは喜び勇んだ王妃様やエドガルド様に囲まれて王宮に行ってしまった。
私は失意にくれて、家で塞ぎ込んでしまったのだ。
誰にも会いたくなかった。
しばらくショックのあまり引きこもってしまったのよ。
十日くらい経った時だ。
「アレハンドラ。喜びなさい」
喜色に満ちた笑みを浮かべてお母様が入ってきた。
私のエドガルド様を下っ端聖女に取られたのに、何がそんなに嬉しいんだろう?
私にはよく判らなかった。
母が言うには我が国に留学している辺境の国の王子のバルトロメーオが私に婚約を打診してきたらしい。
「アレハンドラ。これはとても良いお話よ。隣国のコルドバ王国は工業の盛んな国で、これからますますのびるわ。その国に聖女として迎えられるのよ。これはとても名誉なことだわ」
母はとても喜んでいたが、私は嬉しくなかった。
「何が嬉しいの、お母様? 私はパウリーナに負けてしまったのよ。平民で下っ端聖女に」
「もう、あなた、そんなに下っ端聖女に負けたのが悔しいの?」
「だってお母様。私は小さい時からずっとエドガルド様の横に立てるように頑張って来たのよ。それをポットでの下っ端聖女に負けて悔しくない訳無いじゃない! それにコルドバ王国は辺境の国じゃ無い! 私はそんなところに行くのはいやよ」
私は鳴き叫んでいた。
「それは私もあのカサンドラに負けたのは悔しいけれど……そう、アレハンドラはどうしてもその下っ端聖女に仕返しがしたいのね」
母は少し考えていた。
「仕返しできないことは無いわ」
そして、ぽつりと言ってくれた。
「えっ、お母様、それ本当に?」
「ええ、パウリーナをそのコルドバの王子に差し出せば良いのよ」
「えっ、でもどうやって?」
私は驚いて母を見た。
「こちらで王子が浚えるようにお膳立てしてやるのよ」
「そんなことが出来るの、お母様?」
「それはやりようよ。そうと決まればすぐにいろいろと打ち合わせしないと。あなたもめそめそしている暇はないわよ。やることは色々とあるのだから」
私はそれから母と色々打ち合わせをした。
そして、聞いていて途中からとても嬉しくなってきた。
これでパウリーナに仕返しができる。
この件が終わってバルトロメーオとパウリーナに既成事実が出来ればエドガルド様もパウリーナを諦めざるを得ないだろう。
私はあの得意げに私を見てくれたパウリーナが涙に暮れて辺境の国に連れて行かれると思うだけで溜飲が下がる思いだった。
「パウリーナめ、良くも今まで色々と私にやってくれたわね。でも、これであなたも終わりよ。コルドバなんて辺境の国で細々と生きれば良いわ」
私は心の底から笑ったのだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございました
パウリーナの運命や如何に?
続きをお楽しみに!








