ポーションを作ってくれって聖女から頼まれて作ったら何かがおかしくなりました
「聖マリアンヌ王国の二代目聖王の名前は?」
「アーロン様」
「違う、二代目聖王陛下はアベル様だ。この大聖堂を建てられた。言い加減に自分の住んでいるところを作った王様くらい覚えろよな」
大聖堂の貴賓室に移って3日。
私は決戦前なのに、エドに延々と勉強させられていた。
何故、何故に?
ポーション作って練習しなくていいのか?
「リーナ、お前はほっておいても絶対にミラネス侯爵令嬢には勝てるから。それよりも勉強しておかないと。そろそろ試験だぞ」
エドはエドガルド様並みに容赦が無かった。
「でも、私もうすぐポーション対決なのに、ポーション作らなくて良いの?」
私がエドに聞くと
「だから言っているだろう。やるまでもなく、リーナが勝つに決まっているから、やる必要ないだろう」
エドは保証してくれたんだけど、相手はずつと上級ポーションを作ってきた相手なんだけど。
「初級ポーションなら絶対に負けない自信はあるけれど、上級ポーションは私は2回しか作ったこと無いのよ。今度もちゃんと作れるかどうか判らないじゃ無い!」
「気にしなくて良いよ。絶対に勝てるから、それよりも三代目の聖王陛下は?」
三代目なんて覚えていないわよ!
「エドガルド」
「凄い、なんで判ったんだ」
「へへえ。私もたまに覚えているわよ」
嘘だ。覚えていないからエドガルド様の名前出しただけだ。
そうかエドガルド様は三代目からとってつけたんだ。私はまた一つ賢くなった。
「申し訳ありません」
そんな時だ。一人の聖女が涙目で私の所に来たのは!
「何だ? 君は?」
「申し訳ありません。エド……様」
エドが見るなり塩対応だったけれど、案内したセナイダさんが恐縮していた。
「彼女なんか泣いているだけで、どうしてもパウリーナ様に頼みがあると」
「セナイダさん。勝手に聖女を入れてはいけないとお話ししたはずですが」
「申し訳ありません。エド……様」
セナイダさんはエドさんの名前を呼ぶ時に詰まることが多かった。とってつけるように様を言うからだけど、やはりエドが平民で今は王妃様の命令を受けているから、慣れない様付けしているからだろうか?
でも、セナイダさんはエドと話す時に普通に敬語だし、やはりエドも貴族なのかもしれない。そこはよく判らなかった。聞いてもいいけれど、なんか聞くのが躊躇われた。
エドが雲の上の人だと確認するのが少し怖かったのだ。
「まあ、エドさん、良いじゃ無いですか? 確かビビアナ様ですよね。どうされたんですか?」
私は聖女仲間に声をかけた。
確か彼女はサラと同じ男爵令嬢だったはずだ。平民の私と男爵令嬢の間には身分差があったが、彼女はアレハンドラの取り巻きでは無くて私と接点はほとんど無かった。
「申し訳ありません。パウリーナ様。こんな事を頼むのはお門違いだと思うのですが、初級ポーションを作って頂けないでしょうか」
「はああああ! そんなの君たちで頑張って作れば良いだろう! 一人50本のノルマがあるだろうが」
エドが怒りだした。
「でも、私、もう魔力足りなくて……これ以上出来なかったら聖女を首になって領地に帰されるかもしれないんです。でも、私の領地はここ数年不作で本当に大変なんです。聖女を首になったら私を養うお金なんてないんですし、私の給与も微々たる物ですけれど全て領地に還元しているんです。お願いします。パウリーナ様。なんとかお助けください」
ビビアナは私に土下座せんばかりに頭を下げてきたのだ。
「そんなことを言ってもだな」
「エドさん。良いじゃ無いですか。私の練習にもなりますし」
私がエドの言葉を止めてそう言い出した時だ。
「エド、元気にしているか?」
エドさんの所に何故か、ダミアン様がやってきた。
エドガルド様に言われて様子を見に来たんだろうか?
2人は隅で何か話していたが、
「少し席を外す。でも、リーナ、沢山作る必要は無いからな」
私に釘を刺すとエドガルド様は出て行ったのだ。
うるさく言う者がいなくなったので、私はひたすら謝るビビアナさんの前に大鍋を出した。
「えっ?」
ビビアナは唖然としていた。そう言えば彼女はまだこの大聖堂に移ってきて間なしで、私が作るのを見たことがなかったのかもしれない。
いつものように大鍋に水を満たして沸かし出すと、
「えっ、こんなに沢山一気に作るんですか?」
ビビアナさんは口を開けて固まっていた。
私は驚くビビアナさんの前であっという間に初級ポーションを作り出したのだ。上級ポーションを作れるようになって少しポーションを作るのが早くなったかもしれない。私は努力が身について少しうれしくなった。
50本の初級ポーションを渡すと彼女はとても喜んでくれた。
「パウリーナ様。本当に申し訳ありません」
彼女はしつこいくらいに謝ってくれた。
でも、謝罪の言葉よりはお礼の言葉の方が何倍も嬉しいのに!
私はとんちんかんなことを考えていた。
彼女が去った後に何かよく判らないけれど、私には違和感があった。それがなんだか判らなかったけれど……
そう、私は彼女が何について謝っているのか理解していなかったのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございました
すみません。対決まで行かなかった。
今夜対決します








