学園で悪役令嬢と対決することになって大聖堂での生活は薬屋の店員が守ってくれることになりました
私は泣いた後、そのままエドガルド様に王宮に持ち帰りさせられたのだ。
「ちょっと、リーナ、その言い方、止めてよね」
二人きりになった途端にサラは本当に饒舌になる。
それを指摘したら、
「当たり前でしょう。相手はこの国の王太子殿下なのよ。ちょっとでも機嫌を損ねたら私のちっぽけな男爵家なんて一発で廃絶よ。普通になんて話せる訳はないじゃない! 普通に話せるリーナが異常なのよ」
サラに言われてしまった。
「何言っているのよ。私が普通に話せる訳ないでしょう! 私は男爵令嬢様のあなたと違って平民、それも孤児なのよ。相手は雲の上の見目麗しい王太子殿下よ。話す時は私なりにとても緊張するわよ」
私が言い返したら、
「嘘! あれで緊張しているの? あり得ないわ。今日も王太子殿下に抱きしめられて泣いていたじゃない」
「あれはアレハンドラ様が私がせっかく刺繍したハンカチを取り上げて踏んでくれたから悔しかったのよ」
「そうなんだ。私としてはあのどう見ても失敗作のあれを踏みつけるアレハンドラの神経もよく理解できないんだけど……あれなら、『まあ、これはゴブリンが刺繍したみたいね』とか、『さすがパウリーナはお子ちゃまだけあって子供が刺繍したみたいね。もっとも私の3才の妹ならもっと上手く刺繍するけれど』とか言って貶すのが貴族なのに」
「ちょっと、サラ、あんたの方が余程酷い事を言っているわよ!」
私はサラを睨み付けた。
「だって事実じゃ無い! あんたは確かにポーション作るのは凄いけれど、刺繍は本当に全然よね。あのどう見ても失敗作を王太子殿下に渡そうとしたあなたの神経を疑うわ」
「でも、エドガルド様は喜んでもらってくれたわよ」
「お情けに決まっているでしょ! 後でどこかにしまっておくに決まっているわ! 王太子殿下の持たれるようなものではないでしょ!」
サラに言われてしまった。
「そんなに酷かったかな? まあ、私もどうかなとは思ったのよ。元々エドさんにハンカチあげようと思ってやり出したんだけど、スタンピードの時にエドガルド様のハンカチを台無しにしてしまったの思い出して。Eは一緒だから良いかなって」
私がそう言い切った時だ。
開いていた扉から誰かが吹き出した音がした。
「もう、最高! パウリーナちゃんがエドガルドに渡したハンカチは元々エドに宛てたものだったんだ」
いきなり笑いながらダミアン様が部屋に入ってきて私は唖然とした。
「いえ、決してそのようなことは…………」
私はその後ろにエドガルド様がいるのが見えて青くなった。
「エドガルド様!」
サラも固まっていた。
それを見てダミアン様が更に笑い出してくれたんだけど……
クラウス様は困ったような顔をしているし、エドガルド様はむっと黙り込んでいた。
「あの皆さんはいつからそこにいらっしゃったんですか?」
私がカルロス様に聞くと
「最初からかな。エドガルドの話題で盛り上がっていたから入り辛かったんだ」
カルロス様が教えてくれた。
「本当にエドガルド見ていたら面白かったよ。特にパウリーナちゃんが、エドに上げるハンカチをエドガルドに渡した云々の時は最高、ギャッ!」
ダミアン様が足を押えて悲鳴を上げられたんだけど……どうやらエドガルド様が思いっきリ踏まれたみたいだ。
飛び跳ねるダミアン様が…………
「エドガルド、何も思いっきり踏むところじゃないだろう! エドだろうがエドガルドだろうが同じなんだ、ギャーーーー」
再びダミアン様はエドガルド様に足を踏まれたみたいだ。
同じって何だろう?
ダミアン様が大声出して飛び上がられるから聞きそびれてしまった。
「どうされたんですか? 3人揃われて」
私が話題を変えようとして聞くと、
「そうだった。実はミラネス侯爵がリーナを王宮に住まわせるのは時期尚早だと言いだしてくれたんだ」
エドガルド様が説明してくれた。
「なるほど」
それは私もそうだと思う。
ヒロインが王宮に住むのはサマーパーティーが終わってからだったし、アレハンドラとしては納得がいかないだろう。私としても王宮にはあまり長居はしたくないし……
「俺としてはミラネス侯爵令嬢とリーナを比べたら圧倒的にリーナの方が能力は高いと思うんだけど、侯爵としては皆の前で実際に見せてはっきりさせるべきだと言うんだ」
「まあ、エドガルドの言う事を聞く限りパウリーナちゃんの圧勝なのは目に見えていると思うんだけど」
ダミアン様が私の肩を持ってくれたんだけど……
「何をすれば良いんですか?」
「ポーション作りをして、格の違いを見せてほしいそうなんだ。リーナを王宮に住まわせるほどの違いを出せれば納得するんだと。
まあ、リーナの力を見せつければ納得はすると思うんだけど、本当に面倒くさい奴らだよ」
私の質問に答えてくれたエドガルド様は、最後は吐き捨てるように話してくれた。
「その対戦は4日後の月曜日に、王立学園で対決することが決まった」
カルロス様が教えてくれた。
「それで悲しいことにリーナはそれまでは大聖堂に戻せと侯爵が言い出したんだ」
目を怒らせてエドガルド様が文句を言うんだけど、私としては王宮にいるよりは大聖堂の方がましなんだけど……
「まあ、侯爵の言うのも一理あるだろう」
カルロス様が理解を示してくれた。
「何を言うんだ、カルロス。リーナはあのいけ好かない侯爵の娘に虐められていたんだぞ。帰ったらまた虐められるだろうが」
まあ、確かにエドガルド様の言うようにその危険は大きかったが、
「元々私は大聖堂に住んでいましたし、まさか、命まで取られないでしょう」
私が冗談ぽかして言うと
「そんなの判らないわよ。相手はあのアレハンドラ様よ。何をしでかすか判らないわよ」
横からサラが言いだしてくれたんだけど……
そんなに危険なんだろうか?
まあ、アレハンドラは私を射殺すような視線で睨んでくれていたけれど……
「そうだ。サラはよく判っている。出来れば俺がリーナを守るって言ったんだ」
私はエドガルド様の言葉に固まってしまった。
王太子殿下に守ってもらうってそれはまた絶対にアレハンドラに恨まれる事になると思う。
「でも、侯爵がそれは不公平だと言い出しやがったんだ」
忌々しそうにエドガルド様が言ってくれて私はほっとした。
「その代わりにエドをつけることにしたんだ」
エドガルド様の声にダミアン様とカルロス様、それにサラは何故か唖然としているんだけど……
「良かった。エドさんなら私もよく知っていますからそれなら安心です」
私がほっとして答えると、白い目でサラ達から見られてしまったんだけど……何でだろう?
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