悪役令嬢に引っ叩かれそうになった時に颯爽と現れた王太子に助けられました
私に礼を言い出す騎士達にアレハンドラ様たちは呆然としていた。
アレハンドラ様たちは何か言いたそうだったが、エドガルド様たちはその後強引にサラを先頭に行かせて露払いさせて、強引に通ってくれたのだ。
エドガルド様はこれでアレハンドラ様が大人しくなると思ったのかもしれない。
そんな訳は無かったんだけど……
久々に足を運んだ教室の私の机の上に大きな花が生けられていた。
それも彼岸花が……
これは完全嫌みか?
さすがに私はむっとしたんだけど、
「サラ、これは教壇に」
エドガルド様がサラに指示して彼岸花を教壇へ移動させてくれて私の前から退けてくれた。
エドガルド様の権限か何かで急遽BクラスからサラがこのAクラスに移って私の隣に座っていた。その代わり聖女の一人がBクラスに異動させられていたんだけど……確か熱心なアレハンドラ様の信奉者の男爵令嬢だった。
何かまた私が恨まれそうだ……
私がうじうじ考えていたら、ミランダ先生が教室に入ってきた。
「まあ、誰なの、こんなきれいな花をくれたのは?」
入ってきたミランダ先生はとても喜んでくれたんだけど……
ミランダ先生は彼岸花の意味をしらないんだろうか?
そうか、こちらの世界では彼岸花を送っても喜んでもらえるのかもしれないと思って後でサラに聞いてみたら、
「悪いに決まっているでしょ! ただ、聖女はあんたも含めて浮世離れしている者が多いから知らない人が多いのよ」
何かサラに酷い言われようだったんだけど……
「パウリーナさん。よく帰って来てくれました。あなたが今回のスタンピードでとても活躍したというのは筆頭聖女様から教えていただきました。詳しくはまた学園長から発表があると思いますが、皆さん、パウリーナさんの活躍に拍手をして下さい」
ミランダ先生の言葉に皆拍手してくれた。
「パウリーナちゃん凄いぞ!」
ダミアン様が指笛を吹いて歓声を上げてくれたし、カルロス様はエドガルド様から聞いたみたいで盛大な拍手をしてくれた。他の皆は訳の判らないなりに拍手してくれた。
たけどアレハンドラ様たち聖女連中は全く無視してくれた……
やはりエドガルド様の言葉だけでは納得できなかったみたいだ。
そして、その日の最後の授業は選択クラスの手芸クラスでほとんど女だけだった。これはまずいと私は戦々恐々としていたんだけど、授業始まるまでは何もなかった。
手芸の課題はハンカチに刺繍だった。
「皆さんがお世話になっている方へのプレゼントのつもりで頑張って刺繍して下さいね」
手芸の先生がそう言ってくれた。
私はいつも迷惑をかけているエドさんに贈るハンカチを刺繍しようと思ったんだけど、そう言えばエドガルド様のハンカチをこの前台無しにしたのを思い出していた。
「サラ、エドガルド様ってイニシャルはEMかな」
「そうなんじゃないの? ハンカチでも贈るの?」
「この前、いろいろあってエドガルド様のハンカチを台無しにしてしまったのよね」
「そうなんだ。でもあんた刺繍なんて出来るの?」
疑わしそうにサラが見つめてくれた。
「失礼な! 刺繍くらい出来るわよ」
確か、中学の家庭科で5段階の4は取れたはずだ。
イニシャルのEとMならまだ簡単に刺繍出来るはずだと思った。
ただ、最近は針仕事なんてしたことなかったし、時間が経っているからか前世と違って、中々大変だった。
「全然出来ていないじゃない!」
サラに馬鹿にされたけれど、
「少しは出来たわよ」
授業の終わる時にはEの半分くらいがやっと刺繍出来ていた。
そして、先生が教室からいなくなった時だ。
私はアレハンドラ様たちに囲まれてしまった。
「パウリーナ。少し良いかしら?」
有無を言わさないアレハンドラ様がいた。
「ちょと、貴方たち、パウリーナ様に何をするの?」
サラが抵抗しようとしてくれたけれど、
「男爵令嬢に過ぎないサラは引っ込んでいなさい」
デボラ子爵令嬢がサラを退けようとした。
「ああら、あなたも子爵令嬢に過ぎないじゃない。私の後ろには王太子殿下と筆頭聖女様がいるのよ。そんなこと言っていていいの?」
サラの言葉に一瞬デボラは固まったけれど、
「何言っているのよ。パウリーナが次の筆頭聖女になんかなる訳ないわ。次の筆頭聖女はアレハンドラ様よ」
デボラがそう叫んだ時には私はアレハンドラ様たちに囲まれて連れて行かれるところだった。
私はアレハンドラ様達に裏庭に連れて行かれた。
「パウリーナ。あなた、思い上がりも甚だしいと思うのだけど、エドガルド様に刺繍したハンカチを贈ろうとしているんですって?」
アレハンドラ様がきっとして私を睨み付けてきた。
「エドガルド様のハンカチを汚してしまったのでお詫びに贈ろうと思いまして」
私は言い訳した。
「少し、王妃様に目をかけられているからっていい気になるんじゃないわよ」
「本当に婚約者候補の筆頭のアレハンドラ様がいらっしゃるのにアレハンドラ様を通り越してエドガルド様にハンカチを贈るなんて何を考えているの?」
「素直にそのハンカチを貸しなさい」
アレハンドラ様が手を差し出した。
せっかく刺繍を途中までしたのだ。私は取り上げられるのはいやだった。
首を振ると
「パウリーナ。あなた、今まで私がどれだけあなたの事を目にかけてあげたと思っているの?」
アレハンドラ様が変なことを言いだしてくれた。
それをいうなら、どれだけあなたに迷惑をかけられたと思っているの?
私はそう言いたかった。
「本当に!」
「信じられませんわ!」
エビータとデボラも私を睨み付けてくれた。
「さあ、それを私に差し出すのよ!」
アレハンドラ様が手を差し出してきたけれど私は首を振って後ろに隠そうとした。
「アレハンドラ様、これです」
でも後ろに回り込んだデボラにあっさりと取られてしまった。
「ちょっと返してよ」
私は慌てて取り返そうとして、それは次のエビータに回されて、取り返そうとエビータに向かったらすぐにアレハンドラに手渡されたのだ。
「アレハンドラ様、返して下さい」
「パウリーナ。何よこの汚い刺繍は?」
アレハンドラ様にまで言われてしまった。他人のことはほっておいてほしい。
私がむっとして睨み付けると
「何よ。こんな物!」
そう叫ぶとアレハンドラ様は私が賢明に針を通した刺繍の下ハンカチを地面に投げつけると足で踏みつけてくれたのだ。
「ちょっと止めて、返して」
私がその刺繍をアレハンドラの足下から取り上げると胸で抱きしめたのだ。
私の刺繍の白いハンカチはアレハンドラの足跡で黒くなっていた。
「酷い!」
私はアレハンドラを睨み返した。もう様をつけるのは止めだ。
「パウリーナ、何よ、その生意気な目は」
私の顔を見たアレハンドラが般若の形相で手を振り上げてくれた。
これは引っ叩かれる。
私が覚悟して目を瞑った時だ。
「何をしている!」
氷のように冷たいエドガルド様の声が裏庭に響いた。
「えっ、エドガルド様!」
見上げるとエドガルド様がアレハンドラの手を掴んでくれていた。
周りの聖女達はその瞬間にさああああっと蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「失礼しますわ」
慌ててアレハンドラも逃げるように去って行った。
「おい、待て!」
エドガルド様が呼び止めようとした時には皆いなくなっていた。
「大丈夫か?」
エドガルド様は私の傍にかがんでくれた。
「はい、なんとか」
私がかろうじて答えると
「リーナ、震えているじゃないか?」
エドガルド様が私を軽く抱きしめてくれた。
エドみたいに背中をトントンとしてくれた。
「エドガルド様!」
引っ叩かれそうになって気が張っていた私は、温かいエドガルド様の胸に抱かれて思わず泣いてしまったのだ。涙を見て慌ててエドガルド様はハンカチを私に差し出してくれた。
エドガルド様は私が泣き止むまで、そのまま優しく抱いてくれていた。
そして、私はエドガルド様のハンカチをまた一枚汚してしまったのだ。
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エドとリーナの2人は上手くいくのか?
次はついに侯爵の登場です
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